反抗か服従か、少数民族の選択
★★★☆☆
宗教、難民などの問題を地球規模で考えようと試みた本。
宗教や民族のほかに服飾、住居など文化面をさまざまな
面から見ている。またインディアンやアボリジニーなど
どちらかと言うと少数民族の記述が多い。少数民族と一
口に言っても多数派に同化する者、反発する者、巧みに
多数派と融合して自分たちのカラーを一部でも残す者な
どさまざまで面白い。
民族多様性のダイナリズムは伝わってくるが如何せん駆
け足感は否めない。本書をスタートに勉強するならいい
参考書になるかもしれない。
好き嫌いではなく、大人として一度は目を通しておくべき本
★★★★★
今世界で起きている様々な紛争の大元に何があるのか、それが知りたくて色々漁ってみた。本書は、そのなかでも「大当たり」の一冊である。
民族に決まった定義はない。土地、宗教、言語、文化等々、世界には数え切れないほどの民族がある。日本では戦後70年などと呑気に構えているが、2000年以降に限っても、世界には「民族」を理由にした大規模な戦争が多数発生している。世界は何も変わっていない。今なおオンゴーイングで戦争中なのである。その理由は・・・本書を10回くらい読み込んで、ようやくおぼろげにわかってきた気がする。
300ページほどの、新書にしてはちょっと厚め、といったくらいの軽量の書物だが、内容の重量は大変に重い。好き嫌いではなく、一度は目を通しておくべきだと思う。大人の義務といってもよい。21世紀研究会、恐るべし。
現在世界で起きている諍(いさか)いの起源は…
★★★★☆
世界の民族分布から、その対立・紛争、差別・偏見…等々。
世界中で今起きている事を民族という視点でまとめており、分かりやすく充実している。
・チベット仏教の話。
・アボリジニの話。
・アフリカの民族紛争。
・中東・アラブの宗教対立。
個人的には、民族の問題を語る上での、言語とその記録の重要性が印象深かった。
過去に我々の知らない言語が存在していたとしても、記録がなれば、その文化ごと存在しなかったことになってしまうあたりとか。
あと、民族の起源、派生についても興味深い。
冷静にみれば、英語もフランス語もイタリア語もドイツ語もラテン語の方言で、最初は、東北弁と関西弁程度の違いだったはず。
それが、“関西人はこうやで!”的なナショナリズムがだんだん強くなっていくとボーダーが高くなり、理解しあえなくなる。
もちろん、地理的要素や宗教的要素は関係してくるけど、現在世界で起きている諍(いさか)いの起源は、結構そんな身近なロジックのような気がした。
オットセイって何語でしょう?
★★★★★
非常に面白い。民族という集団が形成されてきた経緯(=歴史)からその結果生じている問題(=紛争)まで、要領よくまとめてあり理解しやすい。新聞の国際面を見る際に非常に役に立つ。
加えて「トナカイ」という名詞がアイヌ語由来であるという事実や、イヌイットという名がエスキモーよりも差別的に受け取られる場合がある、など雑学的話題も満載である。
新しい視線での世の中が見えてくる
★★★★☆
言語、民族、宗教が入り混じって今日の社会が微妙なバランスの上に作り上げられ、または衝突や戦争を生んでいるということが痛感しました。またまったく知らない国や島、民族の話も書いてあり、新しい興味をそそられます。本書読後は毎日の新聞やTVの世界における紛争や緊迫についての報道は表層的であり、なんとなく理解していると思っていること事態きわめて危険だと思えてきます。