素晴らしい書籍です。
★★★★★
チェ・ゲバラに関する日本の書籍で群を抜いて正確で公平、ウィットに富んだ作品だと思います。
チェを一から知りたい者にとっても歴史的背景をしっかりと踏まえた質の高い情報が満載です。
チェの文献に親しみのある者にとっても、自然と微笑みが溢れるような内容です。
特筆すべきは、その読みやすさとページをめくる手が止まらない面白さ!
決して感情優位にならず決して偏らない文章には一環した聡明な世界観があり、読者を置き去りにしません。
この本と出会い、私の人生は大きく変わりました。
私の本棚に並ぶ本の中でも特に思い入れのある大切な一冊です。
ひとりでも多くの方に読んでいただきたいです。
彼の生涯を綴った“チェ・ゲバラ伝”
★★★★☆
チェ・ゲバラのことを少し知ろうと思って本書を手にした。300ページあったが、一気に読み終えた。本書には、チェがアルゼンチンに生まれてから、キューバで革命を起こし、ボリビアで死にいたるまで、彼の一生が全て綴られている。彼の人物像をここまで細かく描くことが出来たのは、彼を知る人々へ丹念にインタビューを行った著者の努力によるものだと思う。チェの人物像やその生涯に焦点を絞った、正に“チェ・ゲバラ伝”である。
ただ、残念なのは、もともと革命家を目指して故郷を立ったわけではないチェが、なぜ彼の母国でもないキューバやコンゴ、ボリビアのためにここまで革命を目指し続けられたのか、その動機やモチベーションについて今ひとつ読んでいてわからなかったことだ。おそらくは彼が学生の頃の旅先で目にした貧困などが影響していたのだろうが。彼の若かった頃について書かれた本を読んでみたいと思った。
真っ直ぐすぎる男の愚直な生き方
★★★★★
何年かおきに起こるゲバラブーム。僕が彼をまともに知ったのは、映画の「モーターサイクル・ダイアリーズ」(傑作!)からだ。それ以前、ゲバラというとゲリラ戦の首謀者、という言葉だけが自分の中でひとり歩きして、勝手に悪人だと思っていた。人間なんていい加減なもんです。
ゲバラの生涯を描いた、いわゆる伝記的な読み物。どんな幼少期青年期を送り、どのような経緯でキューバ前政府をゲリラ戦によって倒し、そしてその後、他の地域においてのゲリラ戦が失敗し、ボリビアにおいて死に至るのか?それについて膨大な資料を元に一冊の本に仕上げた力作。とにかく僕のように映画でしかゲバラを知らない、とか、これからゲバラについての映画を見る人にとっては事前の予習として、これ一冊読めば間違いなくゲバラを詳しく知ることが出来る。
キューバにおけるゲリラ戦の成功は、カストロという政治的な求心力のあるリーダーと圧制で貧困に苦しむ農民たちを暴力ではなく、金を与え、反革命軍であるゲリラたちの味方につけたことが大きな勝因であることが分かる。また、この成功が他の国では、国民性、権力掌握の欲などにより、ことごとく失敗したことを見るとキューバ革命の成功は、一つの奇跡であることも分かる。よってゲバラがボリビアにおいて死を迎えるのも止むを得なかった。しかし、それでも正義と清貧に生きた男の真っ直ぐすぎる生き方は、国を超えて人の心を打つ。だからこそ、なんどもなんどもゲバラについての本やら映画が作られるのだろう。
この本が出版されたのがゲバラの死の4年後である1971年。それにアフリカ・コンゴにおけるゲリラ戦についての補章が追加された完全版。よって文体は正直固いので好みは分かれそう。けど、このゲバラについての本が日本人によって書かれているという事実に驚きを覚える。まずは必読。Tシャツばかり着てないで読みなさい。
最も優れた伝記
★★★★★
ノンフィクションや伝記などで重要なことは「どれだけ真実を
正確に伝えているか。」にあると思うがそういう点で本書は
最も優れた伝記のひとつと思われる。時代背景なども詳細に
書かれており、また考察も非常に深く、誰が読んでも「チェ・ゲバラ」という人の人間像が
正確に理解できると思う。
人生観に大きな影響を与えられる本というのはそうそう出会えるものではないが、
本書はそういう類の本であった。
読む人によって感じ方は様々であろうが何も感じない人というのは
いないように思う。それほど情熱とエネルギーに溢れた本であった。
本書との出会いに深く感謝している。
最高にかっこいい男
★★★★☆
チェ・ゲバラの何がすごいのか?
・周りに影響されず、信念を貫いたこと
・信念と行動が一致していたこと
・地道な努力をし続けたこと
偶像化されたチェと比べると派手さはないが、しみじみとかっこいい男だと思った。
著者の入れ込み具合が強い箇所に関して、時おり、登場人物が多くなったり、細かい出来事を紹介したりして、全体像が見えにくくなってしまうことがありました。もう少しシンプルにすると、読みやすくなると思います。