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約束された場所で (underground2)

価格: ¥637
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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あくまでもノンフィクションとして・・ ★★★★☆
一気に読み終えて感じたのは「救いのなさ」とでもいうべきものでした。
同様の題材を扱った「アンダーグラウンド」ではこの本の様な
出口のない様な閉塞感を読後感じることはなかったと思います。
現代社会に対して居心地の悪さを感じる(元・現)信者達は、ある面で
村上小説に登場する主人公に似てなくはない気がします。
小説にはそれぞれのおとしどころというか物語としての「救い」があるのに対し、
(ノンフィクションだからと言われればそれまでですが)この本にはそれが無く、
「救い」になるべき?巻末にある河合隼雄氏との対話も、(私の読込みが浅いせい
かもしれませんが)結局は「現代のシステムが悪い」という行き場のなさに
読者を放り込んで終わってしまっている気がしました。
それだけ「オウム真理教」が難しい問題を孕んでいるという事かもしれませんが、
村上春樹氏の本の読後「読まなければよかった・・」と
少しでも感じたのはこの本が初めてです。
(他の著作には、★5個(できれば以上も)つけてしまうと思います。)
もちろん「サリン事件」を風化させない為の、優れたノンフィクション
として大変意義の有る本であることは間違いないと思います。
1Q84ブームの中、ぜひ読んでもらいたい本 ★★★★★
まず初めに申し上げますが、私はオウム真理教信者ではありません。
まして特定の宗教に傾倒してもおりません。

ものすごい村上ファンではありませんが、同氏が地下鉄サリン事件以後
この手の問題に力を注いでいるように感じる。
その手の本を手に取った方には読んで頂きたい本。

内容はなんてことないオウム真理教元信者との対談がメイン。

対談も大体はのんびりとしたものでテロ事件の事は知らなかった人が大半のようです。(この内容が真実か、それが本当かどうかはまた別の話として。)

はたして1Q84の「さきがけ」グループと「あけぼの」グループのように
穏健派と過激派のグルーピングがあったのか?


その背景には何があったのかを考えさせられる本。

なんだかみんな似てる ★★★★☆
前作「アンダーグラウンド」で、事件の被害者になるということが
どんな意味なのかをに気づいてショックを受けましたが、
それ以上に感銘を受けたのが、
「村上春樹って、なんて人を興味深く描くことが出来るんだろう」
ということでした。
平凡な経歴の普通の人たち、私ならそういう括りで気に留めなくなる人も、
村上春樹はそんな人たちの持つ個性をきちんと掴んで、小説の人物のように興味深く見せてくれる。
どの人もそれぞれの個性が強く感じられました。
村上春樹の小説が面白い理由がわかった気がするし、
インタビューが上手だったんだなと理解できるし、
彼の世界は豊かな気がした。
相手に好意を持つことが出来る心の広さっていうか、狭くなさを感じました。

けど今回は、インタビューを受けた人がみんな似てるな、という感想を持ちました。
今回は(元or現)オウム信者ってことなので、前回の不特定な人達とは違い
ある程度人間性の傾向がにてくるものだとは思いますが、
本当に大体おんなじな感じです。
現社会に対する思いとか、そんな社会でのオウムの存在は自分にとってどうだったのか、
今のオウムに対する思い、昔のオウムに対する思い、
割と全部同じ感じでした。
唯一違ったのは、幽体離脱を体験したことがあるという女性の話かな。

似たような話&インタビュー数は少なめと言うことなので、
それ程の興味はもてなかったけど、
河合氏との対談やあとがきで述べられている、村上春樹の「悪」や宗教団体についての
考えが興味深かった。
「悪」についての記述は、過去の作品を読み解く手掛かりになるし
宗教団体への記述は、1Q89を読むのに役に立つと思う。
この純粋さは何なのだ! ★★★★☆
「アンダーグラウンンド」と対になる作品。
アンダーグラウンドが一貫して被害者からの視点だったことに対し、今作では村上春樹が対象となるオウムとは何だったのか、と振り返りつつ元信者にインタビューを行った。
インタビューという点においては同じだが、村上春樹のスタンスがやや異なる。
アンダーグラウンドでは村上は聞き手に徹しているのに対し、今回はインタビュー中に間の手を入れ、疑問を呈している。
それが、読み手の疑問を的確に代弁しているからすごい。
しかし、読み進めていくにつれて、違和感が生じる。
ここに出てくるオウムの元信者は、みんなクレバーでピュアだから。
理屈っぽい人もいれば、本当の意味での「純」な雰囲気の人もいる。
対して被害者側がメインの「アンダーグラウンド」では、被害者のキャラクターはとにかく様々。
庶民の生活とは、そんなところだろう。
なぜにオウム信者はピュアな感じがするのか。
いや、だからこそ外界から隔絶したサティアンでしか暮らせなかったのだ。
世の中とは種々雑多、綺麗なものの裏側にはべっとりした汚染物質がついている。
でもそんな裏側を抱えつつ、みんな生活を送っている。
その現実に目を向けたくなければ、現実世界から逃避しなければならない。
その場所がサティアンで完結するオウムだった。

完璧すぎる世界はどこかおかしい。
村上春樹はそんなニュアンスのことをサリン事件のずっと前に「世界の終わり・・・」で語らせていた。
アンダーグラウンドを読んだ方は是非こちらも読んでいただきたい。
そのコントラストにきっと驚かれるだろうから。
今だからこそ、もう一度読み返すべき一冊 ★★★★★
村上春樹の『約束された場所で』はオウム真理教信者へのインタビューと河合隼雄との対談で構成されているルポルタージュ。
地下鉄サリン事件の被害者へのインタビューをまとめた『アンダーグラウンド』と対をなす一冊である。

一連の事件当事者へのインタビューを通した体験が、のちに最新作『1Q84』に集約されていくことになる。その意味上で言えば『1Q84』は、未だ“作者の提示すべき物語(ストーリー)”が述べられていないのではないか。
いわば、問題提起の段階。表面的な筋だけしかないからまだ面白い代物ではない。でも、作者が『約束された場所で』と『アンダーグラウンド』のなかで指摘しているテーマを掘り下げて、ひとつの仮定を紡ぎ出すことに成功しているとしたら、それはとんでもないものになるなぁと思う。


あるいは、オウムの事件は、既にある一定の範囲において検討され尽くしたのではないかと言う人もいるかもしれない。
それでも、紛れもなくこの本は今を話題にしていることで、一連のオウム関連の書籍とは別のカテゴリーとして考えてよいと思う。
過去の回想でもなければ、検証でもない。
そして、空論ではなしに、リアルな「いま」の生身の感覚を伴っている問題なのではないか。

これを読んでいると、つくづく思う。
問題は、みんな同じことなんだと。
テーマがテーマなだけに、道のりは遠いけれど
向かう先を一緒にたどってくれる存在って本当に世の中に有り難いものだと思う。
『1Q84』の続編が出たらそこで提示される物語に期待される。