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ヒトのオスは飼わないの? (文春文庫)

価格: ¥702
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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犬派猫派を超えた「動物派」の一冊 ★★★★★
 表紙が、いかにも犬が飼い主にタイトルの言葉を発しているようで、犬好きの女性が手に取りそう。
そして読み始めると、「犬も猫もヒトもないよ。みんな動物じゃん」と優しく気付かされる。

 私の身近にいる猫派は、「でも犬もいけるよ」という両刀使いが多い。
でも犬派は、「猫!?嫌い!!何考えてるか分からなくて、性格悪そう」て人が多い。
そんな犬派に是非オススメしたい一冊。もちろん猫派にも。

 犬はヒトの役に立つことを自ら喜んでいる節があるけど、猫はかなり自由気儘。
鼠は捕っても、それはハンティングという趣味というか本能だし。
芸を覚える猫もいるけど(我が家の猫の場合は「だるまさんがころんだ」)、悲しいかな実益はない。
 むしろ「この鳴き声はゴハン!くらい、いい加減に覚えてよぉ」とか、
「ゴハンじゃないってば!外に出たいんだってば!解んないかなぁ」とか、
こちらが芸を仕込まれてるような錯覚に陥る表情をしている。

 私は動物をお金で買ったことはない。幼少時から、拾ってくるものだったから。
「これは拾わなければ死んでしまう」というのが家族共通の保護の基準で、
亡くしてしばらく立ち直れなかった事も多いけど、癒してくれたのはいつも次に来た子だった。

 預けられて拗ねたり、新入りに抗議してハンストしたり、ヒトと全く変わらない。
愛情を目一杯注げば、必ず応えてくれる。見返りを求めない愛情を、こちらに全力で注いでくれる。
そんな無償の愛が、すごく嬉しいし、すごく愛しい。
 あっ、だから私もヒトのオスと縁が無いのか…
米原さんのあたたかな人柄が伝わる1冊 ★★★★☆
米原万里のエッセイの内容は
通訳現場・ロシア・小噺・読書・現代社会・動物…など多岐にわたりますが
この本は、特に動物との生活がメインに描かれているものです。
猫や犬たちとの出会い・その日常生活・そして別れが愛情溢れる眼差しで描かれています。
駆け込む病院や近所の人とのやりとりも楽しい。


米原さんは博識さ・ユーモア・強靭な精神や毒舌ぶりも素敵ですが、
ここでは、その根っこにある優しさを存分に感じることができます。
それにしても飾り気がないがない文章で上手い。書き殴っている感じなのに ★★★★★
 家に先に住んでいるネコは新しいネコやイヌが来ると荒れるとか、知らなかったな。あと、失踪してしまったイヌを探している最中に、交通事故に遭ったんじゃないかと清掃局に尋ねると、クルマに撥ねられるのはほとんどネコで、イヌは相当耄碌したヤツじゃないと牽かれないみたいな話や(p.344)、それよりも悲惨なのは動物実験用に捕獲されてしまうこと、みたいな話も(p.352)。飼い主不明の犬は、以前は大学や製薬会社の実験用に回されていたそうですが、動物愛護団体の圧力でそれが不可能になり、結局、ホームレスなどによる野犬狩りならぬ迷子犬狩りが、そうした需要を満たしているとか。野良犬は警戒心が強いけど、飼い犬は人なつっこいので、すぐに捕まえられるそうです。しかし、人間社会というのは、生物と同じで、必ず抜け穴というか基本的な欲求を満たす場所を見つけるもんなのですね。

 途中で幻想的なフィクションに流れていくような話もあって、『オリガ・モリソヴナの反語法』みたいな小説を書く才能の片鱗をみせてくれます。
無理 道理  これがペットの名前! ★★★★★
1950年生まれの米原さんがこの5月になくなるなんて、本当にショックでした。
徹子の部屋に出演されているのもみたし、NHKラジオでの生書評もきいていました。
声がかすれ気味だったのは病気のせいだったのですね。ファンでした。

彼女のたぐい稀な才能のおかげで日本暮らしとなったロシア生まれの猫ちゃん、
ついにみつからなかったゲン(犬)、著者がかかわったさまざまな動物とのエピソード
を集めた本。中学生か高校生ならよめそう。優しい人なのに、
結局「ヒトのオスはかわ」ないで亡くなってしまったのが悔しい。
もったいない。こういう人を独身のまま亡くならせた日本男児が憎い。
猫派? ★★★☆☆
私は動物好きではありませんが、何かほのぼのとした感じが伝わってきました。筆者の米原万理さんはロシア語同時通訳者でありながら、大の猫好きです。捨て猫さえもほっておけない彼女のやさしさが伝わってきました。最近、筆者が亡くなったと聞き、残念でなりません。