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嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)

価格: ¥605
カテゴリ: 文庫
ブランド: 角川学芸出版
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真の友情を遮るものなど何もない。現実の経験とは思えないほどの驚きの場面の連続にページをめくる手が止まらない ★★★★★
 筆者米原万里のプラハでの経験を綴ったエッセイ。全3篇からなる。在プラハ・ソビエト学校でのある3人との友情を、それぞれ別々に描く。

○リッツァの夢見た青空
 幼少の頃、在プラハ・ソビエト学校で一緒に学んだ親友リッツァ。1960年から1964年のこと。1964年に帰国しそれから度々手紙で連絡を取り合っていた。そのうちワルシャワ条約機構の影響で連絡が途絶えがちになり、1968年筆者米原万里はリッツァに会うために渡航を決意する。約8年前の自分の心の中にあるチェコの姿と今の様相は一変していた。郷愁の想いに駆られながら筆者マリはリッツァを探すため東奔西走する。最初の手掛かりは勿論通っていた在プラハ・ソビエト学校。でもその学校も今はない。途方に暮れる筆者だったが現地の人々の力を借りて、次第にリッツァに近づいていく。リッツァやその家族の情報を聞き出そうと四苦八苦する姿は辛そうでもあり、またやってくるかもしれない喜びの再会に胸躍らす躍動感が溢れる。読んでいる自分もわくわくしてたまらない。宝探しをするような、冒険心をくすぐられる感覚もあった。複雑な世界情勢。その中で力強く生きていく人間の姿と、数年という短い年月の間に起きた悲しい現実も含め、生きることの喜びと悲しみが描かれている。人々の会話がとても温かく、生きる力を与えてくれました。

○嘘つきアーニャの真っ赤な真実
 アーニャというふくよかな女の子は人からからかわれることしばしばだけど、頼り甲斐のある女の子。ルーマニアから様々な国を経てチェコに来たアーニャはなぜか不可思議な嘘をつく。
「このノート十月革命広場の文房具屋で買ったの」
でもその文房具屋にそのようなノートはない。なぜだろう。なぜなのか。その理由が物語の最後で明かされて納得すると同時に、複雑なアーニャの生い立ちが関係していて、人種や国籍、そして社会情勢の変動がここまで幼き女の子の心に影響を及ぼすものなのかと深く考えさせられ政治とは恐ろしいものだと思った。そして多感な子供の感性と、物事の吸収力に驚きを隠せない。そして大人になったアーニャの考え方の変化や親や兄との関係と、まさかのルーマニア政権との関わり。世界が狭く見える。肌で世界情勢の変化に触れることができ、緊張感に包まれていました。

○白い都のヤスミンカ
 黒板の前で堂々と喋るヤスミンカという女の子。沢山の生徒の前でも話を理路整然と整える彼女の才能は絵画にも及ぶ。少し近寄りがたい雰囲気を醸し出している彼女に話し掛ける筆者マリ。彼女と友達になりたいマリにはある理由があった。それは社会情勢に関連しワルシャワ条約機構に関係する。ワルシャワ条約機構によって水面下で二分するプラハ。国と国の関係はぎくしゃくしながらもマリの心にはそのしがらみを超える人間関係を築きたいという想いが湧き上がる。幼いながらも筆者の対立を超えた友情を築きたいという想いに感動し、その純粋な心に美しさを感じる。超えているのは国境だけじゃないと思った。
 筆者が帰国して年月が経った後ユーゴスラビア紛争が勃発する。ヤスミンカの安否を心配し、文通が途絶えた彼女に会いに行く決意をする。しかしその道のりは険しいものだった…。


 プラハで学んでいた時の出来事と帰国した後の出来事が綴られ、そこに切なさや寂しさが浮かぶ。旧友に会いに行く筆者。本は期待と不安に彩られ、途中で世界の状態の話を挿入しながら、その複雑な世界情勢の間で揺れ動く友情が描かれる。現実にあった出来事とは思えないほどの、映画のような場面の展開は、読んでいてわくわくして冒険心をくすぐられる。驚きの連続で本として面白いと感じると同時に、複雑で時に凄惨でもある世界の姿を映し出されて勉強になるし、そしてなにより、国境を超え民族を超え強く結び付くその友情に感動しました。
未読の方へ ★★★★★
この本を読むのにためらっている方へ。
ひょっとしてそのためらいの一因に
「ノンフィクション」「作者が幼友達を捜す話」って内容紹介への警戒がありませんか?
私がそうでしたので。

「米原万理」という作家の本を読んだ事が無く、米原さんのキャラも知らないというのに、その作家が昔の友達と会う本?
女性作家にありがちなべたべたに個人的なエッセイじゃないんだろうなあ。(よしもとばななとか銀色夏生とか)
さんざオレ話聞かされたあげく、ラストは涙の再会じゃねぇの?
幼友達との友情を忘れないステキなワタシ、みたいにまとめられた本では?
そんな心配してませんか?
私がそうでしたので。


ご心配なく。違います。


「こんな幼友達(性格、今と昔の生活環境)持ってたら、そら本にするわ」
これが読了後の感想。
米原さんの目で、あくまで幼友達を中心に描かれてます。
面白かったです。
フィクションのノリですいすい読めます。誉めてます。 会話がいきいきしてて、しすぎてて、「出来すぎやろう」ってシーンもありますが、まあ海外の子は会話が上手いんだろうし作者は記憶力がいいんだろうって事で。面白いシーンだったから満足。


一番不思議だったのが、「あっさり友達が見つかる」事だったんですが。レビュー読んだらこれテレビの企画だったんですか?納得。
もう一度読み返したい ★★★★★
民族闘争や政治、戦争、いろんなことがいくつも重なる時代を一生懸命にいき、子供なのに大人にならざるを得なかった子供たち。。自分がいかに小さな世界でぬくぬくと生きているのかと思い知らされ、知らないことを恥ずかしく感じさせられました。
時代と国境を越えた絆 ★☆☆☆☆
少女時代にプラハのソビエト学校に通っていた日本人の著者によるノンフィクション。

旧友との再会や'60年代以降のヨーロッパの歴史がテーマになっており、女のアイデンティティと友情へのシンパシーや、当時の国際情勢への関心と理解力といった点で読者を選ぶ作品と言える。

いささか通俗的で繊細さに欠ける感性には馴染めなかったが、そういった部分がさして気にならず、むしろ親しみやすいと感じる読者もいるだろう。
ヨーロッパは地続きである、という実感 ★★★★★
誰にでも学校時代があり、それを懐かしむことはあるけれど。
米原さんのように、プラハからの帰国子女、かつ9歳から14歳までの多感な
時期を、旧ソ連の子女が通う学校(現地人の学校ではない)で過ごす、という
経験をした日本人は滅多にいないだろう。

旧ソ連の社会主義崩壊がきっかけとなって、1990年代、米原さんはかつての
同級生の消息を尋ねてゆく。
それは単なる再会にとどまらない。
ギリシャ、ルーマニア、旧ユーゴという出身地を持つ3人が、歴史の変化により
人生を左右され、それでもなお淡々と、あるいはしたたかに生きる現在の姿を
直視することでもあった。

地続きのヨーロッパ。
イデオロギー、民族、育った土地、国籍とは一体何なのか?
米原さんの弱者に対する優しさ、妥協しない姿勢、そして生けるものに対する
慈しみとともに、それを考えさせられる。
気に入った本が手に入りました。ありがと… ★★★★★
気に入った本が手に入りました。ありがとう。