下巻では、海上特攻に出た大和の最期が、主に生き残った乗組員の視点で描かれます。
そこでは、戦艦大和の死者3000人あまりと言う数字では表すことの出来ない悲劇が、
個人個人の運命として迫ってきます。
一口で3000人と言いますが、3000人と言うのは9.11テロの死者を上回る数字なのです。
国家の命令でそれだけの人が一瞬のうちに死んでしまう。
そんな過去を日本と言う国家が持っていたと言うことを、改めて感ぜずにはいられません。
後半では、生存者たちの戦後が描かれますが、
死んでいった乗組員に対して申し訳ないという気持ちを背負っていかなければならない
彼らの新たなる悲劇が描かれます。
彼らはどのように救われるべきなのか、著者は明確な解答を示してはくれません。
それは、読者一人一人によって考えるべきものなのかもしれません。