客観視点に垣間見る筆者の意思
★★★★★
大和に乗り込んだ人、関わった人の個々のエピソードを積み上げていく構成で、ストーリー性のある「小説」を期待して読み始めた僕は少々面食らいました。感情移入する前にその人のエピソードが終わっちゃいますんで…。
でも、ずっと読み進めていくと、こうしたエピソードの積み重ねが自分自身の中に残っていきますし、時折、心にずしんと来るエピソードに出会います。
一番衝撃的だったのは、下巻の方で、大和が撃沈された後、生き残った兵士たちが海上で生死を賭けて(味方同士で)争ったというエピソード。文中の表現を借りれば本当の地獄とはこういうことなのでしょう。
タイトルからはかなり好戦的な印象の内容を想像させますが、映画同様、客観視点に徹した記述に逆に筆者の意思を垣間見る気がします
貴重な資料
★★★★★
戦艦大和の乗組員を取材し、そこから作られた証言集のような趣の本。政策や戦局を論じたり、大和艦長の選択や乗組員の練度について述べたり、沖縄海上特攻の無謀さを訴えるような内容ではなく、大和乗組員の視点から彼らの声を淡々と紹介。気の滅入る内容ではあるが、貴重な資料。上巻は、大和誕生から、山本五十六司令長官が乗っていた時期、レイテ沖海戦、そして沖縄特攻直前まで。
大和への鎮魂の本
★★★★☆
世界最大の戦艦大和に関わった人間たちの人生を丹念に調べ上げた一冊。
最高機密扱いのために、写真もあまり残っていない大和の真実に迫ろうと、生存者への綿密な聞き込みを行なうことにより、その本当の姿が点描画のように浮かび上がる。
誕生からレイテ沖海戦、そして沖縄特攻そして沈没、生き残った者のその後の人生を静かに語る。
多くの証言者の言葉をつなぎ合わせることで構成しており、時間が何度も戻って同じ場面を別の角度から見るという表現方法を取っているため、まどろっこしかったり冗長な印象を受けたり、流れとしては個人的には好みではない。あくまで「大和への鎮魂」という気持ちで接するべき本なのだと思う。
「大和」という船が、日本人に特別の感情を呼び起こす理由を再認識させられた。
あまりにリアルなノンフィクション。
★★★★★
戦艦大和と、その乗組員達の生涯を描くノンフィクション。大和の誕生から、沖縄特攻直前までの様子がリアルに描かれている。
「悲劇」とは悲しく描けばいいものではない。そういった意味で、この著作はあくまで淡々と、事実を中心にクールなタッチで描かれるだけに悲劇性がよく伝わってくる。
それぞれの乗組員に描かれるドラマは、ただただ事実。それでも胸を打つストーリーに仕上がっている。
映画版とはキャラクターの扱い方・設定が違い、より多くの乗組員にスポットが当たっているので、よりよく知りたい方には一読の価値がある。
悲しいお話です。
★★★★★
この話は生還した大和乗組員の話を元にした実話で構成されているようです。
最終的に水上特攻に向かっていく隊員達がとてつもなく悲しく思えます。ちなみに16歳くらいの青年でさえ出撃していったそうです。16歳といえば僕と同い年ですのでとても心が痛みます。
下巻ではこの乗組員たちが救われることがあるのか・・・ということを期待しています。