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どこか古典派(クラシック)

価格: ¥216
カテゴリ: 単行本
ブランド: 中央公論新社
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どこか古典派 ★★★★☆
世界あちこちを飛び回る音楽家の方の文章はたとえそれが日本でのささいな日常のひとコマを綴っていてもどこか躍り出すような驚きに満ちています。機知に富んだ軽快な〜とでも形容されるのでしょうか。
彼女と世界とのほんの少しの「ズレ」が古典派たる所以。そしてそこならではの目線できっちりシニカル。
我が家のペットから世界や日本の音楽事情まで垣間見ることのできるお得な一冊。
あふれるユーモアと知性 ★★★★★
数ヶ月前だか、NHKの番組で丸ごと一羽の鳥を大きな包丁で真っ二つにする中村さんを見た。ピアニストと刃物、それ程似合わない組み合わせはない。
しかしそれから鮮やかな手つきで鳥をさばき、野菜を切り、その間に周りの洗い物と掃除を済ませていく手際のよさに、ただただ感心した。
ピアニストとはそういった下々のなす事、炊事洗濯掃除とは無縁の別世界に住む方々と思っている人が多い。実際、あまりにも庶民とかけはなれた人が多いのだが、中村さんの場合は違う。料理を楽しみ、車の運転をし、本を読み、人生を楽しみ、そういった普通の感覚を持つ蛮族なのである。
文章の簡潔にして明確、そしてところどころにちりばめられたユーモア、中村さんのお茶目な人柄を表した魅力的な文章である。
芸術家たるものアンテナを張り巡らして様々な事を吸収してからこそ芸の重みも深まるというもの。この本で触れられていた早熟の天才たちが数年後に平凡なピアニストになってしまうのはこういった精神的な柔軟性が欠けているかれではないか、と思う。

女性として、そして犬猫の母親として輝いている中村さんが100歳になった時の演奏会楽しみである。