「東京日日新聞」(毎日新聞の前身)1937年11月30日~12月13日の紙面には、二人の少尉が南京への進軍中に、日本刀で何人の敵を斬ることができるか、という競争を行ったという武勇伝を載せている。そしてこの記事を収録したのが、ティンパーリー著「WHAT WAR MEANS:The Japanese Terror in China」(London,1938)だ。東京裁判にも大きな影響を与えた書物である。そして南京の裁判では、”「大虐殺」を立証する重要証拠として判決書に特筆され”ている。北村稔著「南京事件」の探究P067(文春新書)2001年刊
さて、被告となった二人の元少尉は、この件は冗談で語ったこととしている。それを聞いた新聞記者が武勇伝に仕立て上げた箇所も確かに存在するようだ。一方で、二人は日本刀で人を斬ったことを否定してはいない。ただし、あくまでも「正規の軍事行動」に伴って発生したこととしている。しかし通常の戦闘において、日本刀を振り回して敵と切り結ぶ場面が実際に数多く存在したのだろうか。「捕虜や非戦闘員」を対象とした「据えもの斬り」は1件も含まれていないのだろうか。両元少尉が自らの名誉を傷つける行為をしていないことを祈るのみである。