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電人M (ポプラ文庫クラシック)

価格: ¥567
カテゴリ: 文庫
ブランド: ポプラ社
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少々異色 ★★★★☆
 今回は,冒頭から‘火星人’や‘機械人間’が登場するなど,かなりの荒唐無稽さが目立ちますが,その分,冒険活劇の匂いが濃厚に漂っています。

 しばらくはこのモチーフでストーリーが進みますが,「遠藤博士」の登場するあたりから探偵小説らしくなってきます。つまり,‘博士の発明を狙う二十面相対少年探偵団’といういつもの構図ですね。

 また,本作で描かれている二十面相のアジトはかなり大掛かりで,地下に電気の国を創り上げています。
 さらに,本作では二十面相が部下に対して演説をするという珍しいシーンもあります。

 最後は,いつものように二十面相の逮捕では終わらず,遠藤博士の発明内容の種明かしがされています。内容は伏せますが,本シリーズには珍しく政治的色彩を帯びています。
 本作が出版されたのは昭和39年ですが,前年には原水爆禁止運動の分裂・日本初の原子力発電所稼働といった出来事があり,もしかすると乱歩には核に対して思うところがあったのかもしれないと想像したりします。

 そのような勘ぐりは抜きにしても,本作はSF漫画を読んでいるかのような高揚感を味わうことができます。積極的に‘荒唐無稽さ’を楽しむべき作品であると思いますよ。


 
こんなアジトに捕まってみたかった ★★★★☆
子供の頃、シリーズで一番好きだった一冊です。
身長2メートルもあるロボットが東京の街を練り歩く。
人騒がせなテーマパークの宣伝マンと思われた怪ロボット、実は・・・という流れでお話が進むわけですが、乱歩先生もこのあたりになるとある意味開き直ったというか、とても吹っ切れたものを感じます。
昭和30〜40年代の夕暮れの東京で荒唐無稽極まる活劇を繰り広げる怪人二十面相と少年探偵団。快活に笑う明智小五郎と翻弄されっぱなしの警視庁。これでいいんです!! こ難しいトリックなんていらない。愛憎入り混じった動機なんてわからない。僕たちが読みたかったのはこういうお話だったのです。

今回の二十面相のアジトはすごいです。部下のみなさんもご苦労様です。金も手間も惜しまずにこんなことばかりするボスに全面的な信頼と尊敬なくして手下は務まらないんでしょうね。どう考えても拉致した誰かを「楽しませる」ための仕掛け満載。子供心に「おれも二十面相を尾行して捕まってみてぇ!」と本気で思ったものです。

改めて読んでみると、推理の要素なんて皆無と言っていいけれども、子供の冒険心を刺激するには最高の一冊だったと思います。
木造校舎の小学校。西日射す図書室で夏の熱気が残る中、一人読みふけった日々が鮮やかに蘇りました。

でも、できることなら旧装丁で出してほしかったですね。
鉄道の信号機がぽつんと立つイラストの半分が赤みがかった大胆な表紙デザイン。裏表紙には無人のプラットフォームに長く伸びた二十面相の影。僕の通っていた小学校にあったのはこちらの装丁だったので。
二十面相って応援したくなる ★★★★☆
今回発売された4冊で全26巻のこのシリーズも完結。
どれも、子どもの頃読んだはずなのに、ろくに筋も覚えていないが、とにかく昔と同じ表紙やイラストが懐かしい。

子どもの頃はあんなにワクワク、ドキドキしながら読んでいたこのシリーズだが、さすがに、23冊目にもなると、設定やストーリーの粗ばかりが目につくようになってしまう。子どものころの純粋な気持ちが失われてしまったのかなぁ。

今回も、最後に明かされる遠藤博士の大発明も荒唐無稽だし、明智の謎解きも随分適当だけど、ただ、今回は二十面相がアジトで仲間の前で、自分の構想を語る場面は良かった。なんか悪い奴って気がしないんだよな、二十面相って。応援したくなる。