この映像集も、今とは比較にならない映像効果のチープさや
当時の殺人的スケジュールの合間をぬって仕上げられた
性急さの否めない映像であることは否定しない。
しかし、カルチャー・クラブを知らないものは、
この映像を改めて、偏見を捨てて見てほしい。
そして彼らのサウンドを追体験でしか知らない人は、
この事実を知って欲しい。
「パンク」が形骸と堕したあの頃は、
表面だけはセレブな雰囲気を湛え
軽薄でスノッブな文化をもてはやす時代だった。
そんな時代に、
彼らは、セレブでスノッブな人種がさも喜ぶ
「普遍的なポップ・ミュージック」という「上品な皮」をかぶせて、
「ショーマンシップ」たっぷりの笑いを浮かべながら
政治も文化も風潮も、ユーモアに交えて滅多切りにするという
ジョン・ライドンやモリッシーも真っ青の苛烈な攻撃性を秘めた
英国でも過激でクレバーな存在だったのだ。
(いろんな意味でお騒がせ野郎という話もあるが)
この映像はその証。
彼らが残した「強烈なメッセージ」は、映像にこそ色濃く残っている。
「法廷を侮辱する映像」と物議をかもし
英国で放送禁止に至った「君は完璧さ」
チープな見せ掛けの「派手なセット」の中で
当時のミュージシャンがステイタスにした
ゴールド・ディスクを叩き割り、
自分達のサクセス・ストーリーさえも皮肉に風刺する
「イッツ・ア・ミラクル」
米国では「戦争」を歌うことがタブーだった当時
喧嘩を売るように歌い上げた「戦争のうた」
続く「メダル・ソング」も、
米国ではそのことを扱うことさえタブーとされる
女優フランシス・ファーマーに捧げられた曲。
(ニルヴァーナも彼女をテーマに扱ってしまった!)
この映像を見て、POPな雰囲気にごまかされたら
それこそ、彼らを笑う資格など無し。
70年代のデヴィッド・ボウイのジギーの洗礼と
パンクの影響を強く受けた彼らの攻撃性は、
デジタル&軽薄の皮を被って、未だにギラギラと輝いてる。
アルバム買わなくてもいいから、これは迷わず買って欲しい。
彼らの存在は「際物」の一発屋なんかじゃないんだし。
もっと高く評価されて良いのではないでしょうか?
victimsとくに最高!
ビデオクリップのほうは意外と見慣れてなくて
当時はレコードでよく聴いていたのだとわかりました。
「ジョージってこんなに音程悪かったかなあ」というのが
唯一残念な点でした(ピッチ低いんですよね^^;・・・)。