自ら「自然流」と言っているように決して無理しないし、アマチュアの私が見ていてもこんなにのんびり打っていて大丈夫なの?と心配になってくることもしばしばなのであるが、それが大丈夫なのである。白番のとき、特に一手の価値が大きい序盤であればあるほど、先着している黒が有利に見えてしまう。私などはそれで無理をして失敗することも多いし、同じような方も多いのではないかと思う。この本の主張は、白番は決して無理することなく相手についていく、そうすればコミを出す黒が大変ですよ、という言われてみれば当たり前のことであるが、実は黒番よりも白番の勝率が高い武宮氏に言われて、できの悪い私ははじめて納得するのである。
武宮氏は実は秀策に影響を受けているのではないかという人がいるが、白番でのこのバランス感覚を見ると妙に納得してしまう。