早熟な14歳としてミュージック・ビジネスに登場したステイシー・オリコ。驚くほどソウルフルだったデビュー・アルバム『Genuine』は大ヒットとなったが、デスティニー・チャイルドのツアーでオープニング・アクトを務めたこと以外は大きく騒がれることはなかった。そして今、16歳になったオリコは、アップビートなポップやR&B風のトラックを集めたセルフ・タイトル・アルバムで、若いエネルギーを前作以上に見せつけてくれる。オリコの歌声には、相変わらずティーンエイジャーとは思えない豊かな表現力があり、エラ・フィッツジェラルドからローリン・ヒルに至る大スターたちをほうふつとさせる。また、オリコは全12曲のうち8曲のソングライティングに関わっており、学校での恋を歌ったヒット・シングル「Stuck」はそのひとつだ。
オリコがテッド・T、ダラス・オースティン、アンダードッグスというプロデューサー陣の才能に多くのものを頼っているのは確かで、彼らは元気いっぱいの若きシンガーにシルクのようになめらかなサウンドを提供している。しかしながら、オリコをプロデューサーに操られるがままの十代のアーティストたちと一緒にしている評論家諸氏のために言っておくが、彼女が胸の内を力強く吐露したバラード「Strong Enough」をよく聴いてみてほしい。そこにはみずからの精神に完全さを求めようと懸命な少女の姿がある。こんな誠実(Genuine)な姿勢こそが、豊かなヴォーカルの才能とともに、オリコを注目すべきシンガーにしているのだ。(Michael Lyttle, Amazon.com)