殺人罪で刑務所に入れられたビンス（エルヴィス・プレスリー）は、囚人仲間からギターや歌のてほどきを受けて、やがて出所してからロック歌手として成功する。
   ビッグ・シンガー、プレスリー主演の映画作品の中でも一、ニを争う完成度の高い音楽映画。そもそも不良性感度の高さも人気のポイントであった彼の個性が、もっとも魅力的に描出された作品だろう。主題歌「監獄ロック」など、懐かしい大ヒット・ナンバーの数々を聞くことができるのもうれしい。当時のレコード界の内幕をさりげなく描いているあたりも興味深い。せっかく作ったレコードを、どこの店にも置いてもらえず、地方ラジオ局のDJに頼んで電波で流してもらったところ、またたくまに反響を呼んだというエピソードは、プレスリー自身の体験を基にしたものだとか。（的田也寸志）