中途半端
★★★☆☆
帝国陸軍の火砲について書かれた資料として、一応価値は見出せますが、全体の構成に難があって読みづらい本になっています。
全ての火砲は網羅していない様に思えます。
いまいち判然としないのは、二章に渡って記述のある火砲と、いずれかの章に記述のある火砲とで情報が分散していて、特定の火砲を念頭に、それについて調べようと思うと探すのに苦労することです。
野砲は野砲で一纏めにしてくれた方が解りやすいのですが、一部だけを纏めて、一部は章をまたぐという変な記載なので、非常に見づらいです。
写真や図版には参考価値のある物も見出せますが、文章をぶった切る形で挿入されているのが気になります。
海軍の火砲については、陸揚げして陸軍に移管した物しか触れられていませんから、副題の「陸軍兵器徹底研究」を
主題にした方が良いと思います。
なにが「大砲入門」なのか意味不明です。
入門を唱ったが為に、こんな変な構成になっているのだとしたら、本末転倒です。
難解な入門書など、入門書の役割を果たせません。
解りやすく情報が伝わるよう編集されていれば、高評価の出来る情報量ですが、読みづらい構成を取ったことで大きく評価を下げてしまった、いろいろな意味で勿体ない本です。