森と同じだけ血が続いている人間にとって、森は住まいであり同胞であり脅威である。
森自体がいきものであり、森に近くすむ人間の心が作り出した不可思議なものたちも、確かに存在している、と感じさせる。「森=取り払うべき厄介な木がたくさん生えているところ」「森の脅威=森い棲む野獣」である開拓者とは、違うのだ。
「今度おともだちをつれていらっしゃい」に、クラス全員をお茶に連れ帰って、母親の目を白黒させる場面がほほえましい。読後に、日向に干した布団の香りのような良い思い出が頭に浮かぶ。