この本は、そのドイツのサッカー選手育成・・・というよりは、いかにサッカーに親しむか、という観点にあるように思える。結果としてそれが裾野を広げ、素質のある子供を見出すことを容易にし、良い循環が生まれる。
内容は非常に具体的で、一般の人が読むよりは、正にコーチングのテキスト。練習のさせ方(それも細かいプログラムが逐一載っている!)から、普段のコンディション管理、子供一人一人にいかに楽しさを味わってもらうか、という、実践テキスト。
いい素質を持った子供は世界中にいるだろう。だがそれを、挫折させずに育てることこそが難しい。ドイツはそれに成功している国なのだとあらためて知る。
サッカー以外のことに目が向いてしまい、挫折しがちな若者世代を扱ったユース編も同様で、「育てる」ことの難しさと、それについてきっちりと研究してきたからこそのドイツの底力-「最後に勝つのはドイツ」-だと思う。
また、トレーニング以外の、指導について述べた部分は、サッカーのみならず、子供に自分の好きなことを見つけさせ、楽しく才能を伸ばす、という、様々な分野の教育に携わっている方々にも参考にしてほしい本。