ADD症状は必ず子ども時代から見られるという。しかし、自分がADDとは知らずに、周囲との違和を感じながら成人してしまう例も多い。ADDは病気ではないが、適切な治療を受け入れられなかったがゆえに、犯罪を誘引することもあるようだ。まず症状に気づき、それを受け入れることが重要となる。完治することはないが、ADDであることを、自分の人生設計を立てる上での1つの情報としてとらえればよい、という。
本書はADD患者の報告書に始まり、詳しい症例の説明、社会の受け止め方とそれが患者に及ぼす影響、ADDへの対処法などを説明。さらに、投薬の是非、職場にADDの人がいた場合の接し方などが具体的に語られる。資料として、実際の療法メニューや詳しい診断基準、グループ療法の概要のほか、薬物療法や医者選びについての専門家へのインタビューも参考になる。全米のADDを支援する組織や日本の自助グループのURLも紹介されており、最新情報をフォローする助けになる。(松本肇子)