モヤモヤするなあ
★☆☆☆☆
表紙とタイトルを見た大概の人同様、「綺麗な猫のファンタジーかな?」と
興味を持ったクチです。
結構厚めの本でしたが、文章が分かり易かったので、サクッと読めてしまいました。
帯とかで大まかな内容を把握していた為、猫を惨殺するシーンもあまり気にしない
ようにして最後まで読んでみたんですが…正直、自分には
そのシーン、そのエピソードに必然性はあったのかなあ?と感じてしまう箇所が
多かったです。主人公の志郎も、実際こんな目に遭ったらこうなるだろうなあと
言うリアルさはあって気の毒だったけど、主人公としては言い訳がましい男で
魅力に乏しく、感情移入出来ない性格でした。
子供を事故で失った上司との接点も甘く、全体には上手くまとめた感で
終わってるが、実はバラバラの話のつぎあわせ的な印象が残りました。
一番気になった点は、作者って猫好きと見せかけて嫌い?ってところかな(笑)
虐待シーンじゃなくても「アー死んだ!かわいそー♪」って楽しんでるのが
文章から伝わってくる気がしてしまうのが一番ホラーなところでした。
「親子の愛情」を掲げている割には死んでいったモノ達への愛情があまり感じられ
なかったし、…うーんモヤモヤする〜
猫がこわいです。
★★★★☆
表紙は幻想的だったので、優しいファンタジー作品かと思ったら、
これが全くの見当違いで、恐ろしい話でした。
結婚間近の恋人にも話せない隠し事をもつ、主人公・志郎が、
ちょっとしたミスから、人間と同じ様な知恵を持つ猫たちの攻撃対象なってしまうお話です。
いろいろな悩みを抱えながらも頑張っていた志郎が、
我慢の限界で怒りを爆発させるシーンでは、人間の醜さが一気に表面に出て、
なんだか人を信用できない気分にさせられました。
また、次々と車で猫をひき殺す描写があまりに多く、
志郎ではないですが、読んでいるわたしもかなり落ち込みました。
猫好きの人にはお勧めできないかも。
ただサイドストーリーの、子どもを無くした父親が猫のおかげで立ちなおるシーンは、
感動的で涙ものです。
起承転結の”転”までは少し長く感じるかもしれませんが、
後半はあっという間です。
エピローグがちょっと蛇足に思え、締まりがなかったのが残念でした。
身近な存在の猫だけに…リアルです。
★★★★☆
恋人の結婚を控えて新居に引っ越した志郎。そこは幽霊マンションが近くにあったりそして目の前の空き地もいわくありげだった…。人間の思考を持つ「新しい猫」と人間のお話。★朱川さんと言えば、もちろんホラーです。そしてこれもホラー。★猫って「化け猫」とかそういうちょっと怖いイメージもあるだけに、このお話はそれに結びついてゾクッとする部分がありました。★もちろん猫達の復讐劇の裏には、ちゃんとそれなりのワケがあるんですがね…。★ラストでスメラギの孤独な胸の内がシミジミと描かれていて…切ないです。★今まで朱川さんは短編ばかりでしたが、実は長編も魅力的です。