15の短編中のどれかの主人公に“鏡の中の自分”が見えるかも?
★★★★★
15の互いに独立した短編で構成された20世紀初頭のダブリン市民を描いたものです。実際のダブリン近郊の地図が4枚ついており、脚注は特に、登場人物が描かれている通りや建物などについて詳しく、ダブリンの生活が身近に感じられるような体裁になっています。相互の物語に関連はないのですが、物語の主人公が最初は少年期、次に青年期、成熟期、社会生活と移っていくので、第一話から順に読むことをお勧めします。また、同時代のことが描かれているので、同じ登場人物が端役で、別の物語に登場したりします。ここに描かれている時代と場所はジョイスの長編“ユリシーズ”と同じものということらしいので、ダブリンの市民の登場人物や地名が“ユリシーズ”にも頻繁に出てくる旨が、詳しく脚注に書かれていますので、“ユリシーズ”の鑑賞にも楽しめる一冊です。話は苦しい“麻痺した”日常生活から抜け出したい願望を持ちながらも、そこから一歩踏み出せない、多くは成熟できない“若者(時に30代や40代)”を描いています。ジョイスは、この小説を書くことで当時のダブリン市民の置かれている状況を彼らに理解してもらいたかったようですが、立場をすこし置き換えると、閉塞した日常から抜け出したいと思っても、多くの人々がそれができないでいる状況は、どの世代でも、世界のどの場所でも同じであると思われます。詳細なダブリンの地理の説明により、あたかもそれぞれの登場人物が、自分の隣人かのように感じることができますので、この本を読みすすめていると、15話の中のどれかの主人公に“鏡の中の自分”を見るような共感が得られるのではないかと思われます。
読みやすく出来ている
★★★★★
ジョイスの作品ですが、それぞれが短編で構成されて
いるので、そう難しくもなく飽きることなく読めて
しまいます。
新しい世界が開けるときに戸惑いを感じる女性。
一人の男性のプライドが崩れていく瞬間など、
なんとなくで終わっている作品が苦手な方には無理かも
しれませんが、翻訳版もあるので翻訳ではわからない英語
独特の行間、雰囲気を楽しめる作品です。
古典作品を読むきっかけの一冊にもなるかもしれません。
読めるジョイス
★★★★★
タイトルどおりダブリンが舞台なので、少し馴染みのない語彙が多いが、それは註が付いているし、日本語訳も出版されているので、それらを参考にすれば問題はないのでは。ジョイス=難解、と言われるが、少なくともこの作品は非常に古典的な手法で書かれたもので、平易とは決して言わないが、『ユリシーズ』や『フィネガンズ・ウェイク』のように、自分自身の認識の仕方を変化させて取り組まねば一歩も進めないような作品ではない。ダブリンの精巧なスケッチと言った趣で、部分を切り取ることで全体が浮かび上がってくる面白さがある。確かに素晴らしい古典だが、もしジョイスがこの作品“しか”残していなかったとすれば、ここまで評価されていたかどうかは疑問だ。が、もちろん☆は五つ。
アイルランド好き?
★★★☆☆
アイルランド好きは必読!
アイルランドの重い歴史、根強さが語られています。
名作、押さえておきましょう。
A rich book
★★★★★
This is the second James Joyce book I have read and it goes to reinforce the feeling I had after reading the first that that writer is a great storyteller. In fact, I consider
James Joyce's Dubliners as one of the best collection of short stories ever put together. The settings are amazing and the rich and lively characters all combine with the incredible plots to add credence to the stories. Not only are they true to life in fitting with the atmosphere that one finds in Dublin, the stories are also hilarious, subtle, and inspirational and gripping. The pace of the stories is fast and the voices are rich. This is a highly recommended read along with THE USURPER AND OTHER STORIES, FINNEGANS WAKE, THE UNION MOUJIK, DISCIPLES OF FORTUNE