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平家物語 (上巻) (角川ソフィア文庫)

価格: ¥778
カテゴリ: 文庫
ブランド: 角川書店
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原文ならではの言葉の力、面白さはあきさせません。 ★★★★★
「語られる」ことで出来上がってきた「平家物語」は、原文を声に出して詠むことがより楽しみに近づける方法です。雅な都育ちの公達の生活のしっとりした部分と、荒々しい源平の戦いの部分とがあり、長い中にもめりはりをつけてくれるので最後まで疲れさせず、あきさせず引っ張っていってくれます。壇ノ浦の最後で知盛が「見るべき程の事をば見つ」といい、続く「海上には、赤旗赤符ども、切捨てかなぐりすてたりければ、竜田川のもみじ葉を、嵐のふきちらしたるに異ならず。汀によする白波は、薄紅にぞなりにける。主もなき空しき船どもは、潮にひかれ風に従ひて、いづちを指すともなくゆられいくこそ悲しけれ。」の情景は胸を打ちます。那須与一の「与一鏑を取ってつがひ、よつ引いてひやうと放つ。・・・」などの擬音の面白さ、勢いも原文ならではですね。

日本語で書かれているのに、古典と呼ばれるものは現代語訳されたり、抄訳になったり、さらには新しい解釈を加えた創作と言った方がよい作品にもなったりします。昔から伝えられてきた良い物であるからこそ、取り付きやすい形からでも知って欲しいと思い、また、新しく創作の思いが広げられるのでしょう。でも、それらを面白い、と思ったら、是非一寸でも原文に触れてみてください。ドラマなどになった時にどの辺が作者の工夫か、もわかると思います。例えば義経の母常磐と清盛の関係は、平家物語ではなくそれ以前を描く「平治物語」の最後に書かれている、といったこととか。

少しぐらいわからない言葉があってもどんどん読み進む。そのためには文庫の小ささ、軽さが良いと思います。角川文庫ソフィア版は、巻末にある索引が「敦盛はどの辺だったっけ」などと読み返すのに便利でした。