Happier Year
★★★★★
フォスターらしい率直で端的な英語で綴られている。きっとこの本を手にとった人は、そのリズムに引き込まれ、一気に読破してしまうのではないだろうか。この細やかな人物描写と血の通った熱い情感。彼の著した多くの作品のなかで最も書きたかったのは「モーリス」ではないかとさえ、思わせる。モーリスがアレクと最初に愛を交わした後、アレクに名前を聞くところが印象的だ。‘May I ask your name?’生前は同性愛を公に出来なかったフォスター自身の怯えた愛情が見え隠れする、切ない言葉だ。