警察官としての十津川、人としての十津川
★★★★☆
何となくタイトルから結末が類推出来そうな気もしますが、そこに至る過程を
しっかり読ませる筆力は流石。
一番の読み所は謎解きでも、旅情描写でも無く、友を想う気持ちと、警察官
としての自分との間で苦悩する十津川警部の姿です。それをトワイライトエクス
プレス、雪積もる北海道、そして今回の事件の始まりであるフィリピン・・・と
いう舞台装置に乗せて描きます。
ただ(これは他の作品にも言えるのですが)盛り上げるだけ盛り上げた割に
は、最後のオチがあまりにあっさりとし過ぎた感を受けたのです。もう一つの
肝である巨悪の部分をしっかりと描いていたら屈指の作品になったと思う次第。