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自白―刑事・土門功太朗

価格: ¥1,575
カテゴリ: 単行本
ブランド: 文藝春秋
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昭和50年代の時代設定、地味な刑事モノ ★★★☆☆
初出が2009年〜2010年にかけての土門刑事を主人公とした短編4編。

ストーリーはそれなりに練られてはいるが、時代背景が昭和後期であり、
その後の乃南アサの作品に比べると、同じ刑事モノでもどこかのんびりとして牧歌的ですらあるため、
「初期の未発表稿なのでは?」と思えてくる。

乃南作品の類稀なる洞察力によるひりひりするような人物描写や、
心を抉るような鋭い心象風景は、ここでは描かれていない。
「昭和をテーマにした小説雑誌の企画モノ?か」と思えてくるほどの埋め草的作品で、
乃南ワールドの中では明らかに異質。
犯人の人生と、土門刑事の捜査と、昭和の世相。 ★★★★☆
本書は4編からなる作品で、初出はオール讀物、「アメリカ淵」が2009年1月号、「渋うちわ」が同年6月号、「また逢う日まで」が同年10月号、「どんぶり捜査」が2010年1月号だ。それぞれ昭和40年代から50年代の時代背景の殺人事件だが、パターンが決まっている。プロローグで被害者となる人物の周辺を描き、本文にて刑事・土門功太郎が登場し現場で捜査指揮を執る。典型的な泥臭い足で稼ぐ捜査で頑張るが、進展は難しい。その捜査の中で土門刑事の家庭の話も登場する。丹念な捜査の積み重ねで容疑者が絞り込まれる。そしてエピローグで犯人が自供し、起訴される。推理が面白いとか、スリリングな展開とか、どんでん返しに読者もビックリ、という話はない。土門刑事の人間味あふれる人柄、土門刑事の娘さん二人の成長に合った家族の会話、そして時代背景の昭和の様々な事象や、歌、映画等々も頻出する。昭和のノスタルジアを楽しみ、また被害者や加害者の人生、また当時を取巻く社会を考える作品だ。東京ディズニーランドが開園、日航機よど号の赤軍派によるハイジャック、ホテル・ニュージャパンの火災、その他当時のニュースが数多く登場する。そして犯人の生い立ちや経歴や動機が加わる。本書に登場する中で、私が最も衝撃的だったニュースは、中川一郎代議士の自殺だ。葬儀委員長は福田赳夫、友人代表は中曾根康弘、鈴木善幸、二階堂進、安倍晋太郎、喪主が中川昭一だった。そして中川家は二代続けての不幸となってしまった。
がっかりしました ★★☆☆☆
乃南アサの作品は好きで、結構読んでいるのですが、びっくりするほどつまらなかったです。
わざとなのかわかりませんが、ストーリーにも何の工夫も無く、「これって何十年前に書かれた小説?」って感じてしまいました。
もう一ひねり二ひねり欲しかったです。
面白かったです! ★★★★☆
欠かさず読んでいる乃南アサさんの新刊です。

今回の作品はアメリカ淵・渋うちわ・また逢う日まで・どんぶり捜査の4つの中篇から成る連作集

乃南アサさん、お得意とする刑事物が今回は今までと趣向を変えて
昭和40〜50年代が背景となっている。

科学捜査がまだ未熟だった時代、主人公の土門は情熱と経験と勘を頼りに、地道な捜査を続ける。
小さな手がかりをつなぎ合わせて事件の全容を明らかにし、容疑者を自白に追い込むさまは、職人芸の趣だ。
主人公の土門功太郎の人物描写が見事で脳内映像にくっきりと現れて来る。

そして愛人殺し、夫殺し、連続空き巣狙い、タクシー運転手殺しなど4編の短い文章の中で
犯人たちの心理も丁寧に描写している。

大阪万博、三島由紀夫の割腹自殺、ディズニーランドの開園といった出来事や、
「矢切の渡し」「また逢う日まで」「圭子の夢は夜ひらく」など名曲が背景にちりばめられていて
昭和の時代さえも丁寧に描かれていて懐かしさを感じました。

乃南さんの引き出しの多さにはいつも驚かされます。