いよいよコンクールへ――《ハルチカ》シリーズの第3弾
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《ハルチカ》シリーズの第3弾で、今回はチカたち清水南高校
吹奏楽部がついに大会に出場する“コンクール編”になります。
本書に収録されているのは(プロローグである「序奏」以外は)、暗号解読
を絡めた高級犬の“飼い主当て”「ジャバウォックの鑑札」、幽霊が出ると
噂されるアパートの驚愕の仕掛けが痛快な「ヴァナキュラー・モダニズム」、
ギャルたちによって構成された吹奏楽部“ギャルバン”が抱える深刻な秘密
を探る「十の秘密」、そして“オルガン”にダブル・ミーニングをたくして再生の
ドラマを描きつつ、最後の最後できれいに背負い投げを決めてみせる表題作
「空想オルガン」の4編。
今回は、連作短編という形式を活かしたオチが秀逸でした。部活もの、
青春ものとしての物語を前面に出しているため、まさかそこに仕掛け
を用意していたとは――と驚く読者も多いのではないかと思われます。
※各短編の内容については、「コメント」をご参照ください。