第1巻は個人療法のケースをまとめてあり(未訳の第2巻はカップルセラピー、第3巻は家族セラピー)、必ずしも、催眠をつかったものばかりではないが(エリクソンは、いくつもの新手法を開発した、卓越した催眠家であったが、一見すると、催眠の利用はごく控えめに見える)、ヘイリーの「今のケースは、催眠と関係があるんですか?」との大ボケな質問に、「私のセラピーは、いつもいくらかは催眠的です」とエリクソンは茶目っけたっぷりに答えている。
訳者は日本を代表する催眠研究家のひとりであるが、その訳はいささかかたい(ときに機械翻訳を思わすくらいに)。よってエリクソンの生声たっぷりで、名著の誉れ高い原著に対して、星を一つ減らして4つ。