すべての教育関係者にお勧めする,「学習科学」研究をまとめた1冊
★★★★★
早速,手に入れました。
この本の価値を端的に言えば,
1.近年の「学習科学」の動向を網羅しているところ,
2.章ごとに学習科学のキーワードを具体的に解説しているところ,
3.各章を関連させながら,教育と学習を総合的に解説しようとしているところ
です。
「学習科学」は,日本ではまだ新しい分野で,教育と学習を研究する学際的分野です。そして,これまで認知科学,教育心理学,教育工学など,それぞれの分野で研究されてきたものを,「学習科学」として,総合的にとらえ,考えていこうとするものです。
個人的な感想として,まず,興味のある章から読まれたらいいと思いますが,各章がそれぞれ関連している(引用などがある)ために,順番に気になる章を読んでいくと,「学習科学」として,今後の「教師の教育」や「子どもの学習」のあり方や方向性が,次第に理解できると思います。
また,各教育場面で活用できる理論や実践例が具体的に解説されていることから,「学習科学」をはじめて学ぶ人でも比較的理解がしやすくなっていると思います。
1つ難点は,「ハンドブック」ということもありますが,値段的に少々高いところです。
しかし,ページも厚く,内容も濃いので,ボリュームからみれば妥当な値段だと私は思っています。
なお,この本は,あの"The Cambridge Handbook of the Learning Sciences (Cambridge Handbooks in Psychology)" の全章の抄訳のようなので,日本語の本として「学習科学」研究のバイブル的な本になるでしょう。