ジジェクのトランスクリティーク
★★★★☆
題名自体が柄谷行人のカント論((3) トランスクリティーク -カントとマルクス- (定本 柄谷行人集) Transcritique: On Kant And Marx)を連想させるが*、実際柄谷からの引用もかなり見られる。
本書が翻訳されれば、国を越えて互いに影響し合うという本来の知のあり方が垣間みられて有益だろう。
海外崇拝から脱するためにも、本書の邦訳によって日本と欧米との間に見られる今の間違ったパララックスビュー(視差)は解消されるべきだろう。
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『トランスクリティーク』をジジェクが論評した部分は、『思想』2004年8月号に『視差的視点』として翻訳された。同じラカニアンとして共闘を続けるバディウの集合論的政治論への言及とともに、この箇所が本書の核になったことは間違いない。