マロリーの遺品には妻の写真がなかったのはどうして?
★★★★★
1999年に遺体が発見された登山家のマロリーの遺品の中には、持っていたはずの妻の写真がなかった。
それは マロリーがエベレストの頂上に到達...を意味している。
マロリーの伝記であるが、小説のように面白い。最後の方はどんどん盛り上がってくる。登場人物がとてもリアルに書かれている。悲劇の運命が待っていることになる南極探検に出かけるスコットの講演を聞くマロリー、そして2回目のエベレスト挑戦の前にスコット未亡人の話を聞きに行くマロリー夫人、恋愛映画を見ているように引き込まれる。中には信じられない話もある。エベレスト探検の際に測量のために身長がぴったり8フィートの現地人をやとい、それが地面に寝て8フィートをはかり、またその印のところから地面に寝て8フィートをはかり、道のりをはかるという嘘のようなばかげた測量法まで出てくる。
懐かしき夫婦愛
★★★★☆
本書を読みすすめていくうちに、マロリーという名前はどこかで聞いたことがあると思い始め、Wikipediaで検索したら、かすかな記憶がよみがえってきました。宣伝文句の、「彼は同時に二人の女性を愛し、その一人に殺された」の意味が、(恥ずかしながら)その時初めて分かりました。最初はミステリーと思って読んだのです。本書の編集者の罠にはまった!?
本書は、エベレスト登山で有名になった登山家のマロリーの自伝的小説ですが、彼の冒険談というよりも、彼とその妻の夫婦愛がテーマです。登場人物の多様性、および主人公マロリーも生き生きと描写されていて、当時の世界(欧米)のことも彷彿とさせるものがあります。
登山に関心がある人なら一層興味深く読めるのではないでしょうか。(ただ、いわゆるミステリーではありません)。