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言語・思考・現実 (講談社学術文庫)

価格: ¥1,188
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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洞察 ★★★★★
ウォーフは44歳で夭折しているが真に天才と呼ぶにふさわしい。
アメリカ・インディアンの言語研究を通して「言語とは何か」について独創的な仮説を提示した。
言語学の訓練を受けていないのが幸いしたのであろう。

平均的ヨーロッパ言語(印欧語族)には、主語(虚構の動作主)・述語がある。
現象(出来事、つまり働き)を対象化・実体化し、二分法により世界(働き)を切り取り(本来、分割できないものを分割する)名詞化するのを特徴とする。
また、空間を三次元の無限空間、時間を動的で一次元の均質で永遠に流れ続ける時間(ニュートン力学は直観でなく、この文化の中から生まれた)、そしてそれは過去(記憶)・現在(感覚的なもの)・未来(信念とか直観、不確定の分野)という三つに区分される。
また、その結果想像的空間(バーチャルリアリティ・脳の中のうつしえ)を必要とする。(宇宙像・世界観として静的・抽象的・部分)

これに対し、ホーピ語は世界を対象でなく出来事として捉え一体化(一元論的)する。必然的に動詞化するのを特徴とする。(主語は必要としない)
時間の概念はない。(従って、同時という概念もない)
世界は顕現された(現在と過去の区別はない)、顕現されつつある(われわれが未来と呼ぶところのもの、魂・心の中に現れたり、存在したりするものが含まれる)で区分される。(無生物・生物・自然のあらゆるものに魂・心がある)
そしてそこには、生命・力・潜在性が漲っている。
その顕現については、多くの抵抗や遅延はあるが何らかの形で実現不可避なものである。
現在の空間から切り離された想像的空間はない。(宇宙像・世界観として動的・具体的・全体。仏教でいう父母未生以前か)

以上、大雑把に紹介したが興味をそそる具体論も多数ある。
書斎派のサピアとフィールド・リサーチ派のウォーフ! ★★★★★
「サピア・ウォーフの仮説」で有名なサピアとウォーフって面白いコンビですね。個人的に仲が良かったのかどうかは知りませんが、対極的な二人です。書斎で緻密な理論を展開するサピアと珍しい言語を探して世界中を飛び回る冒険家ウォーフって感じですね。書斎の賢人と冒険家というのも、いかにも20世紀前半のキャラクターと言う感じがします。今や書斎にPCが入り込み、世界に未踏の地なんてないですしね。
ウォーフの話は面白いのですが、サピアが後押ししなければ、言語によって世界の見方が異なるという主張が「サピア・ウォーフの仮説」として歴史には残らなかったかもしれません。
現代哲学ではこの主張の影響を受けて、クワインの「根本的翻訳(Radical Transration)」からデヴィッドソンの「根本的解釈(Radical interpritation)」へと話が進んでいいます。でも良く考えてみると、この議論はウィトゲンシュタインの私的言語論を言語学的なアレンジで変奏したものに過ぎないような気がします。
落ち着いて考えると、言語によって世界の見方が異なるということは翻訳家がいつも感じていることなのかもしれません。後知恵的にいうと、言語の相対性と言われても、日本語が絶対視された経験はありませんからね。未開人の言語を探さなくても西欧系の言語の中にだって差異はあります。そういえば古代ギリシャ語には過去形が二つ(未完了過去とアオリスト)ありましたし、単数・複数のほかに双数(2つ)なんていうのもありました。
そう考えると、「サピア・ウォーフの仮説」にはウォーフが収集した未開部族の言語の例のインパクトが必要だったのかもしれません。