前作「クレーの絵本」が、とても良かったので、こちらも買ってしまいました。
単純な線で描かれた「クレーの天使」からは、悲しみ・喜び・希望・成長……いくつものイメージが広がります。
それと同様に、谷川さんの平仮名だけで描かれた詩からも、様々なイメージが広がり、読者の読み方を限定しません。
それなのに、自分のどこか深い部分に思いあたる。
素晴らしい、絵と詩の世界です。

クレーの天使デッサンのすばらしさもさることながら、まるであらかじめ用意されたかのような谷川さんの詩が、何の抵抗もなく入ってくる感じがします。

谷川さんの詩が好きで買った本ですが、クレーにも興味がわいて、好きになってしまいました。
表紙にもなっている、『忘れっぽい天使』の絵が一番好きです。
天使の奔放さ、幼さ、美しさ、醜さが、どこかにんげんらしく表現されていて、見ていて飽きませんね。
一見簡素な線で、こうも表現できるものなのだなぁ、と思います。

何度も何度も読み返してしまう、宝物のような本です。

クレーが、こんなにたくさんの天使を描いていたとは・・・　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

泣いている天使
忘れっぽい天使
用心深い天使

絵画に解説は要らないと思っていたけれど
クレーのシンプルな線画に
谷川俊太郎の　ひらがなの詩が添えられることで
天使を近くに感じられる　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

なまめかしい天使や　
まだ醜い天使を
クレーは見たのだとおもう

　

オルゴールを聞いているようなリラックス感。
しっとりと読んでいると、気持ちがふんわりする。

「クレーの絵本」を購入した後に見つけて、思わず手にとってしまいました。谷川俊太郎の詩が好きで2冊とも購入しましたが、単純な線で描かれた、天使の姿が愛おしくも物悲しい。日頃思い描く愛らしい天使や荘厳な天使はここにはいません。妙に不恰好で人間くさい天使たちが、かえって人の痛みを感じてくれるように思えます。

谷川俊太郎の、平仮名と片仮名だけで綴られた詩が優しく透き通った静かさで響いてきます。絵と詩の関連はあまり考えず、それぞれの魅力で観て読んだほうが楽しめます。