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Enduring Love: A Novel

価格: ¥1,670
カテゴリ: ペーパーバック
ブランド: Anchor
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   主人公のジョーは、恋人のクラリッサと出かけたピクニックで、気球事故に遭遇する。その場にたまたま居た何人かの男たちが救助に駆けつけた。乗組員は無事だったが、救助にあたった男のひとりが、死んでしまう。その事件後のある夜、1本の電話がジョーのもとにかかってくる。「あなたはぼくを愛している」と。声の主ジェッド・パリーもまた、あの事件現場で救助にあたった男たちのひとりだった。彼はジョーと出会ったことを単なる偶然と片付けられずに、「神の意思」と解釈するが、それ以降、パリーのジョーへのストーキングが始まる。クラリッサは一笑に附し、警察も取り合わない。だがパリーの一方的な愛は、次第に脅迫へとエスカレートし、ついには現実の暴力となって、ジョーやクラリッサに襲いかかる。

   パリーの愛は「ド・クレランボー症候群」と名づけられる。ある人物が自分を愛していると思い込む妄想症の一種である。しかし妄想に陥るのは、彼だけではない。ジョーはクラリッサがパリーのストーキングに無関心なために、ほかに男がいるのではないかと想像し、彼女を難詰する。事件現場で死んだ男の妻は、その男がピクニックに別の女を同伴していたと思い込んでいる。

   退屈な日常では、ほんのささいなことで現実から足を踏み外すことができる。巻末に掲載されたド・クレランボー症候群の実症例を眺めて、この小説が遠いかなたの出来事ではないことに気づいたら、もうマキューアンの術中にはまっている。(文月 達)

暇なら読んで ★★☆☆☆
サスペンスミステリー小説。筋書きはいいのだが、あまりに、もったいぶった回りくどい文体で、台無し。サスペンスには緊張感と雰囲気が不可欠。この作家にはそれを描く能力が無い。所々に手に汗握る展開もあるのだが、やはり冗長な文体で台無しに。特に序盤の部分はかったるい。序盤を乗り切れば、まあ、読める。このストーリー展開を、例えばサスペンスの名手ウィリムアイリッシュ=コーネルウールリッチならどんなに見事に描いただろうか。何度も出てくる排泄の描写も興ざめ。何のためにこんなことを書くのだろうか。読み終わっても特に何も残らない。暇があったら読めばいい、というレベル。
愛と狂気 ★★★★★
マキューアンの旧作。すでに文庫化されているようだが、やはり、クレスト・ブックスの装丁がいいので、古本屋で買って読んだ。

とにかく、マキューアンの小説は文章がいい。もちろん翻訳の良さもあるけど、とっても読みやすい。

この小説は、愛と狂気を描いているが、執拗に主人公の男性に迫る男といった設定も全く違和感なく、読める。ストーリーもよく組み立てられていて、最後まで、息もつかずに読んでしまった。

彼の小説は何冊か読んだが、人間の不安定さ、愛情の不条理さといったところが、よく描かれていて、心に残る。
巧みな心理描写 ★★★★☆
ある事件を元に描かれる、様々な愛を書いた秀作。
なにかと今注目の作家、マキューアンだけど私は初読。読みにくそうなイメージがあったので構えて読んでみたら、意外に読みやすい。精巧で緻密な文体、難のあるテーマを軽々と読ませてしまう筆力はさすがだなぁと思った。
ストーリーだけを追うとありがちなストーカー物になってしまうところだけど、そうならない。
狂気の男パリーの出現によって、次第に崩れていく主人公ジョー。理解を示してくれない恋人クラリッサへの苛立ち、落ちこぼれの科学者である彼ゆえの落ち方というか、精神の乱れ方の過程を巧く書いている。周辺の登場人物の描写も丁寧に書かれてる。
変質的な男の一方的な愛の話であり、些細な事から崩れだすカップルの愛の話であり、夫が死んだ事で妄想に駆られる妻の話でもあり、多層的な読み方ができる。
なんだか読み終えた後、凄く切なくなった。
さまざまな「愛の形」 ★★★★★
映画化時のタイトルは、「Jの悲劇」で昨年11月に公開されたイギリス映画でした。
原題は、「Enduring Love」で、「継続する愛」と「耐える愛」の二重の意味を持っています。映画では一部省略されていますが、小説の中には、いくつもの「愛の形」が登場します。登場人物たちは、「愛」故に悩み、苦悩します。
その究極として、「妄想的な愛」が登場し、主人公たちはそれに悩まされ、それまで良好だった二人の「愛」もおかしくなってゆきます。そうした精神的な苦悩を綴った物語です。
そのあたりが、映画ではもう一つ描ききれていませんでした。そのために、全体的な雰囲気は伝わってくるのですが、もう一つ明確な形を捉えられませんでした。それが、原作を読もうと思った理由なのですが、こうした心理小説的な作品を映画化することの難しさを改めて認識させられた作品でした。
理不尽な求愛行動に次第に崩壊していく主人公 ★★★★★
 子どもを乗せた気球が上昇してしまう事故現場に偶然恋人のクラリッサと居合わせた主人公のジョー。その場に居合わせた人たちとなんとか気球を地面につなぎとめようとするが、1人がロープにつかまったまま気球とともに上昇、墜落死する。その夜、ジョーのもとへ現場に居合わせた男パリーから電話がかかってくる。「愛している」と。
 見ず知らずの男から執拗に続けられる宗教的な求愛行動。手紙、見張り。まったくの理不尽な行動に当初、たいした危機感も抱かなかったジョーだが、次第のその理不尽さに内面から追い詰められ、生活さえも破壊されていく…。
 次第に崩壊していくジョーの生活、理不尽さが次第に意味づけされていく過程がみごとに描かれていて、その手腕はみごと。読み応えのある小説だ。
 イアン・マキューアンは密かに注目している作家の1人だが、納得の1冊。本書は映画化されていて邦題名は『Jの悲劇』。