この作品のアレス無双は個人的には好きではないのですが、その手の話の中では今迄で一番楽しめました。
一人で千人の軍勢を瓦解させるとかの描写は流石に読んでいて非現実的すぎて引いてしまうので
今回の敵役はアレスの相手としては非常に見栄えのする相手であったと思います。
（一人で千人の〜に関しては作者もやりすぎと思ったのか今回はかなり自重しているようでしたが）

また、風の戦乙女に次いで姫巫女もなし崩しで仲間になりましたとかいう
想像していた最悪の展開は避けてくれたようなので非常に安堵致しました。

他の方のレビューにもありますが主人公は無敵です。そういう少年漫画的な展開が気に入らない人も多くいると思いますので、そういう人は読まない方がいいと思います。

私はこのシリーズは英雄譚に近いのではないかと思っています。少なくとも戦争物として見るべきではないのかもしれません。
主人公のアレスがいかにして英雄と呼ばれるまでの道を進むのか、そっちの方がキモになっているようなので主人公は強くなくちゃいけないのかな?とも思います。

ただずっと思ってたのは、主人公が精神的に騎士として完成され過ぎている件。『お国のため、お国のため』と、視野が狭すぎる気がします。『あなたのお国はそんなに高潔な人ばかりではないですよ』とツッコミをいれたくなります。
それに強いのはいいんですが、それでも思春期。誘惑には負けることもあると思うし、もうちょっと色々考えてしまう年頃ではないでしょうか。『それが英雄なんだよ!!』と言われてしまえばそれでおしまいですけど。『英雄』って言葉は便利ですね。

あと、アレスモテすぎです。まあそこは男のロマンなんで別にいいんですが。

物語の方はちゃんと進んでおり、次の巻は作者自らあとがきで『シリーズ全体のターニングポイント』になるかのように書いてあるので、期待しています。個人的にはこれで主人公の視野が広がることに期待しています。

文句無く面白かったです。
この巻は最初から最後までずっと熱い戦闘が続き、読んでて本当に手に汗を握ってしまいました。特に最後のミレスデン軍との決戦は、完全に想像の上をいかれる展開で、いい意味で裏切られてしまいました。

ヒロインたちの主人公争奪戦も見逃せません。次巻も本当に楽しみです。

前巻では農民を通して語られる悲惨な前哨戦でしたが、今回はいよいよ国と国とのぶつかり合いです。
進軍してくる北の軍勢にアレスたちが遅滞戦闘を仕掛け、その間に決戦の態勢を整えたベールセール軍。

そして始まる決戦。兵士たちが戦列をなし、矢戦が始まり重装備の歩兵がぶつかり合い、さらに騎兵による撹乱でお互いの戦線をなんとか崩そうとする両軍。

しかし、そのとき顕現する北の姫巫女の恐ろしい力。
アレスでさえ絶望を抱くそのあまりに強大な力との戦いは、読んでいて手に汗を握りまくりでした。
間違いなくシリーズ七冊の中で一番面白い巻です。

毎回、同じような話でマンネリ化してきた。主人公の無敵化で、つまらなさに拍車がかかっている