Shonan Daddy read,
★★☆☆☆
この作者、クラシックな恋愛ものが得意で意外なことにそれがアメリカでは人気を呼んでいます。ケビンコスナーが主演したMessage in a bottleなどは私からするとあまりに大甘でちょっとついていけませんでした。超自然的な幻火で話題になっている町に住む古風な女性と幻火の謎を解きにやってきた青年との恋をえがいたTrue believerもかなり時代がかった恋愛モノでした。
この作品も第1章はまさにそのような展開で、30を過ぎたのに気ままにパラグライダーやスキーなど独身生活をエンジョイしているTravisと、隣家に引っ越してきた医療補助士のGabbyがひょんなことから次第に魅かれていく過程をまるでハーレクインロマンのように甘美に描いています。男と女の出会いの意外性(今回はGabbyの飼い犬がTravisが獣医とは知らず彼の愛犬に妊娠させられたと勘違いしてGabbyが隣家に怒鳴り込むことが発端)や、厳格にそだてられてきたGabbyがまったく正反対のTravisのライフスタイルに魅了されていくあたり(はじめてハーレーに乗ることを教えるシーンなどなかなかよいです)まさに恋愛モノを得意とする作者の面目躍如とするところで、それなりには読ませます。 2章になるとがらりとかわって、実はプロローグで示唆されているように結婚10年余たったTravisと Gabbyのまさに人生の大選択(the choice)のテーマが描かれます。甘美なメロドラマだけで終わらないで、必然と偶然、自然と科学など結構、深遠な大テーマを持ち込むのもこの作者の多くの作品に共通したドラマ構成ですが、今回の場合はあまりにも唐突すぎてとって付け足したようなご都合主義ととられても仕方がないと思います。
英語は平明ですし、メロドラマも英語で読めばそう気恥ずかしくありませんのでお手軽にどうぞ。