ヴァイキングの歴史
★★★★★
あのプラテネスを描いた幸村誠のバイキングものの第3巻。週刊少年マガジンから月刊アフタヌーンに連載が移ってからのものが載っている。
これまた、ずっと読んでるんだけど、掲載誌が変わったり、休載があったりと、久しぶりの単行本化(1,2巻はアフタヌーンコミックから再刊されたけど)。
すごく面白いよ。日本でバイキングものなんて流行らないかもしれないけど(ビッケ以外は)、これは面白い。
アシェラッドに続く強敵!
★★★★★
主人公、トルフィンの敵(同行してるが)、アッシェラッドは自分で、
「年だ」
と言っているが、それを感じさせないほど強者だ。しかし、そんな中トルフィンの前に新たな強敵が立ちはだかる!
その名は自国、デンマークからイングランドに寝返ったトルケルだ。NBAプレーヤー並みの身長を誇りその上バカデカイ岩を軽々と持ち上げるほどの怪力を持っている。
この巻ではトルフィンとトルケルが激闘を繰り広げる話が入っておりこの話はアクション度が高い。
そして、この作品に関しての評価であるが、少々血なまぐさいところがネックだが、ストーリーは実に読み応えがある。
ヴァイキング、欧州の歴史に興味ある方は読んでみてはいかがであろうか?
素晴らしい人物造形と想像力
★★★★★
主人公トルフィン(モデルはおそらくトルフィン・トールズソン、北米大陸へ初めて植民した)やレイフ・エリクソン(北米大陸へ初めて到達した)などを含め、本作品は緻密な取材を基盤にして作られています。しかし一方では、登場人物の年齢や性格、後に北海帝国を築くクヌートの人物像など、作者が自由に想像力を働かせたと思われる部分も多々あります。それがまた本作品の魅力でもあり、読者が感情移入しやすい見事な人物造形に仕上がっています。
物語は、トルフィンの幼少期を終えて、クヌート王子の護衛〜退却行に移ります。およそリアルな文化・歴史面の描写を基盤にしながら、自由な想像力で生まれた魅力的なキャラクターが多数登場。派手なアクションや知謀入り乱れる戦いの様子は、歴史や文化など気にしなくても充分楽しめます。
西欧や米国の作家が描くような、偏見に満ちたヴァイキング像はここにはありません。夢を追い、戦いに生きるリアルな人物描写は非常に好感が持てます。
作者の人物造形と想像力、そして徹底した取材には脱帽。単にアクションマンガとして読んでも充分楽しめ、読み終えれば、続きが気になること必至です。
生者の躍動を支える死の世界
★★★★★
この漫画の売りは、生き長らえるために自己の力と知恵しか信じられないヴァイキングの男達の姿を活写することに成功している点。完膚なきまでに主人公を打ち負かしたが自身も深手を負った敵将は、別れ際不敵にこう言い放つ。「楽しかったな、またやろうな」。刀の柄一つにもこだわる綿密な取材と作画密度の濃さが、テーマに相応しい絵を提供している。
時にはおちゃらけているようにも見えるヴァイキング達のドンチャン騒ぎに目が行きがちになるが、死と生の身近さが描かれているのがこの漫画のもう一つの特徴である。ローマの栄華の記憶はとうに薄れ、十字軍のような外征に乗り出すまでにあと1世紀近くかかるこの時代―ヨーロッパは史上最も暗い「たそがれの時代」を迎えていた。年々寒冷化してゆく気候の中で、人々は西方にある「ヴィンランド」("葡萄の地"の意、北米大陸)を、ちょうど日本中世の浄土教における「西方浄土」のように現世の苦しみがない緑豊かな土地としてあこがれている。殺された父が夢や幻で度々主人公の下に訪れるのは、死と生が紙一重であることを象徴しているように思える。
本巻では、後に「北海帝国」を築くことになるクヌート大王が優柔な王子として初登場する。「混乱」が「秩序」へと変わってゆく端緒となるのか、物語の行方は予断を許さない。
次なる展開は・・・
★★★★☆
3巻から「月刊アフタヌーン」連載分だそうです。やっぱり週刊より月刊だよね〜。絵を拝見してつくづくそう思いました。
物語的には中間的というか、特に重要な感じはしないのだけれども、次に待ち受ける大きな展開の「振り」なのかなと期待しています。
トルケルはもう少しシリアスめのほうが好みですが、アシェラッドもいることだし、こういうキャラのほうがイイのかなと思ってみたりして。
いずれにしても今後の展開が楽しみな作品です。