ダイジェストとして。
★★☆☆☆
平安時代の母子関係ということだが、当時の文学物、他時代との比較をある程度知っていないと、各項目末尾の著者の思想にはまるかもしれない。
即ち「母親だけの子育ての解消」「夫への経済的依頼による妻の従属」男女参画というものでしょうか。
その思想がちらついていなければ、本書は古典文学、平安時代研究者論文のダイジェストとしてはおもしろいかもしれない。
ただし、古典文学から抜粋されているからといって、その時代の世相を完全に表わしているとも言えない。今昔物語集のような説法じみたものだと特にそう感じてしまう。
研究者としての「今後の課題」と思想者としての感想を述べているだけで、思った程の深みはなかった。ダイジェスト、もしくは古典雑学的なら受け入れやすい。