方言のダイナミックな姿を明らかにした画期的著作
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「かたつむり」を表す語を地域ごとに収集、整理し、放射状に分布していることを明らかにした一冊。言語というものの、歴史的・地理的な分布の仕方を「方言周圏論」としてまとめ、ともすれば、とりとめのなくなりがちな民俗学や方言学における原理を示すこととなった。
シュミットの波動・波状説とは似ているが、独自に展開したものである。
現在では同様の試みはより精緻化、大規模化を見ており、全国アホ・バカ分布考―はるかなる言葉の旅路 (新潮文庫)などが現代的な結実である。近年の言語類型論や歴史言語学を論じるうえでもその示したところは重大な意義を有している。