韜晦屋アレー
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アルフォンス・アレーは19世紀末のフランスの新聞コント作家です。 彼のユーモアは、英国風の「ブラック・ユーモア」とも、フランス風の「エスプリ」とも少し違い、素知らぬ顔・人の良さそうな顔をして実は人を喰っている一種の韜晦精神です。これを当時、アレーをはじめとする似たような傾向のユーモリストたちは、ブラック・ユーモアやエスプリと区別し、「フュミスム」という言葉で形容していました。 アレーは生涯で数千余にわたるコントを発表しており、その中には言葉遊びが多くて訳すと面白さが伝えにくかったり、文化的背景・時代的背景を知らないとわかりにくいものも多いのですが、この選集では、現代の日本人にも、いきいきとフュミスム特有の面白さ・可笑しさが伝わるコントが厳選されており、訳も大変軽妙ですぐれていると思います。