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「民族」で読むアメリカ (講談社現代新書)

価格: ¥777
カテゴリ: 新書
ブランド: 講談社
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民族統計? ★★☆☆☆
ちょっとこの本はかわりづらいです。統計的な数字が多いので特徴です。歴史的なことが少ないので民族理解には難しいかもしれません。
移民史としては基本的だが、問題設定が面白かった ★★★★☆
野村達朗の『「民族」で読むアメリカ』は、社会学者イマニュエル・ウォーラースティンの「近代世界システム論」の議論の上に、アメリカ産業資本主義の形成を担う労働力=アメリカの民族の姿を紹介する。ウォーラースティンの議論は「近代世界システム」は経済的分業関係によって生み出される一つの制度であり、その分業関係は大きく「中心(支配)」と「周辺(従属)」、そして中間の「半周辺」から成りたっているというものである。新大陸での自由労働主義と豊富な土地と資源はアメリカならび初期移住者(コロニアルストック)を、この分業システムの「中心」を担う存在へ変えた。それは同時にアメリカは「周辺」地域から奴隷および「移民」を吸収することを意味し、アフリカ人、アルランド人・ドイツ人・南東欧人・中国人・アジア人、メキシコ人などを包摂し交じり合う多民族国家を作り出したのだった。

議論は続いて「中心」「半周辺」「周辺」という地域関係の構図が、そのままアメリカ族関係に投影され、ワスプを中心とする階級制度による社会へ視点が向けられる。つまり「近代世界システム」の縮図が国内に出来上がり、社会の人種民族による経済格差という弊害を生み出しているのである。ただしこの階級制度は一定の制限と例外はあるものの、新移民集団の到来や民族間の外婚によって、旧移民集団がミドルクラスへと生活基盤を移行する融合への流れがあるのは興味深い。しかし例外である黒人や原住民たちといった本来移民でない集団への経済状況は深刻で、彼らの不満は公民権運動の中で表面化し、その空気は同時に多様な人種・民族間の摩擦を生じる事態を孕むこととなった。この「近代世界システム」の構造について考える時、「中心」と「周辺」関係と私たちの人種観の形成は非常に歴史的産物であるという理解に至ると同時に、今日のグローバリズムや南北問題とその結果に対して大きな関心を払わざるえないだろう。

アメリカ建国理念の光と陰 ★★★★☆
 アメリカという国が、貧しい大量の移民を受け入れることで成長を遂げてきた国であることが改めて確認できる書である。

大量の移民が発生するに至る過程には歴史的なパターンが存在する。すなわち、資本主義の拡大による伝統的農村社会の解体と、それに伴う都市への人口集中、さらには都市経済が吸収できない人口の海外への流出、すなわち移民の発生である。このパターンは現在のアジア系や南米系移民にも同じく見られるものだが、アメリカの移民に対する態度が不安定なために、多くの問題を引き起こしている。

 移民が明るい未来を夢見て新大陸へやってきた一方で、強制的にアメリカへ連れて来られた「移民」がいた。アフリカ奴隷である。この二つの現象が、実は同じ現象の裏表にすぎないことに驚かされる。人類史上において革命的な意味をもつアメリカの建国理念とは、こうした裏面の暗い歴史的現実があって初めて完成されたものだと言えよう。