この本で行列力学の再認識を。
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不確定性原理で知られるハイゼンベルグによる本書は、様々な思考実験や実験結果が不確定性原理と矛盾しないこと、また、その物理的意味について読者に語りかけているものである。パウリの対応原理と不確定性原理を基本原理として、実験と矛盾しない理論(量子力学)を提言していくところは、批判と考察を繰り返しながら慎重に説明されている。英語版で刷新された付録では、ハイゼンベルグの行列力学を自然な流れとして導入している。不確定性原理と交換関係との関連は見事に説明されている。量子力学を一度修められた方には、この本で行列力学、不確定性原理と交換関係について、改めて再認識されることをお奨めします。ただし、初めてこの分野に関われる方は、多数ある他の量子力学の良書にて学ばれてから、この本を読まれることをお奨めします。