空間を化学的に変化させているような錯覚にさえ陥る
★★★★☆
2007年リリース。彼らの6thアルバム。ちなみにケミカル・ブラザーズは、2ndの『ディグ・ユア・オウン・ホール』から5作連続で本国イギリスでアルバム・チャート1位を記録している。これはこの分野では他に例がない快挙だ。
また、グラミー賞も度々受賞していて、1997年にシングル「ブロック・ロッキン・ビーツ」が「Best Rock Instrumental Performance」賞。2005年には5thアルバム『プッシュ・ザ・ボタン』が「Best Electronic/Dance Album」賞とその1stシングルである「ガルバナイズ」が「Best Dance Recording」賞をダブル受賞し、さらに本作も「Best Electronic/Dance Album」を受賞している。
相変わらず圧倒的潮流のようなビートとサウンドはまさに脳が化学変化しているようにさえ感じる。もう一歩突っ込んで言えば脳がテストされているような錯覚に陥る。本作はどこか現代音楽の実験音楽にも通ずる部分がより濃く感じられる。
もやは『音楽』というより『パルス』という感じで、空間の中で分子的に躍動し、空間を化学的に変化させているような錯覚にさえ陥る。毎回の新作が最も今、楽しみなバンドだろう。