仏教学者が書いた仏教の本は、読んでもなんだか結局何も残らないものが多いように思う。
本書は難解な仏教哲学について扱っていても、実践的な行いの観点から決して乖離していない良書です。繰り返しの読書に値する本だと思います。
仏教の基本的な思想から、修行体系、高度な密教まで本書はカバーしています。

1981年に、ダライ・ラマ14世がハーバード大学で行った講義内容を克明に綴った一冊。
日本にも度々講演に訪れるダライ・ラマであるが、一般大衆向けに行われる講演では、ここまで掘り下げた仏教講義を聴ける機会はほとんどないだろう。
キリスト教圏における聴衆に対しても、仏教哲学をわかりやすく説く表現能力や、自身を常に一人の仏教徒として語る口調からは、真に仏教を体現する人物としての真摯な姿勢が伝わってくる。