ジャズ・ファンにとって、この時のライヴは歴史的な名演奏だとずっと言われてきました。ヴィブラフォンをジャズにおけるソロ楽器として確立したライオネル・ハンプトンの演奏の素晴らしさが、今尚、語り継がれているわけですね。
この時の「スターダスト」には、セッションの各人のソロが次々と繰り広げられていきます。ウィリー・スミスのアルトー・サックス、そしてチャーリー・シェイヴァースのユーモアたっぷりのトランペット、コーキー・コーコランのテナー・サックス、そして、スラム・スチュアートのベースとメロディをなぞるような彼のボーカルがとても印象的ですね。トミー・トッドのピアノ、バーニー・ケッセルのギターと続き、その終りを待ちかねたようにヴィブラフォンの真打・ライオネル・ハンプトンが登場します。
彼のアドリブの素晴らしさは、実際の演奏を聴いてもらうしかありません。
最初から、とてもテンションが高く、快調に飛ばしていきます。とても気持ちが良いのでしょうか、彼の唸り声も収録されています。
次から次へと披露される疾走感あふれるフレーズの塊、輝くばかりの音の洪水。ライオネル・ハンプトンの圧倒的な存在感が感じられます。他のメンバーは、本当に固唾を飲んでこの彼の演奏を見守っているという感じが伝わってきます。
そして全員の参加による大団円。ジャム・セッションの醍醐味を如何なく体験できる歴史的名演奏は、今宵1回限りのものでした。
まさに「真夏の夜の夢」とでもいうべき、記念碑的セッションでしたね。