生物学を志す学生への推薦書
★★★★★
推薦の一番の理由は、英文が平易でわかりやすいこと。分子生物学をある程度知っている人には、内容は物足りないかもしれない。しかし、邦訳が出ているとは言え、原著を読む意義は大きい。
Carl Zimmer は 'Parasite Rex (2000年発刊)' の著者でもある。この本の邦訳を一気に読んだ感動を、私はいまだに忘れられない。数年後に帰国途上の機内で同席した寄生虫学の教授も、名著、と絶賛していたほど。筆力のほどが知れるということだが、この著書もぐいぐいと読者を引きつける力を持っている。
我が国の主要な生物医学系の学会での発表は、今や全て英語で行われている。論文はもちろん英語。英語以外の言語の論文の価値は zero に等しい。英語で考え、英語で表現する力が今ほど求められている時代はないと思う。
私はこの本の読破を、生物学を志す学生に勧めたい。Monograph のため専門用語ではない単語や言い回しがあるかもしれないが、辞書を引かずに読み飛ばして、大筋を理解することも必要であり(研究者は時間を節約しなければならない)、しかも可能である。
専門外の方なら訳本で読んでいただきたいが、生物学を志す方はぜひ原著に当たっていただきたい。読破した自信は次の原著を読む力となる。