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食の精神病理 (光文社新書 (116))

価格: ¥1
カテゴリ: 新書
ブランド: 光文社
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印象に残ったのは絵本の解説ですが、これはどうも...... ★★☆☆☆
著者は精神科医。本書は、拒食症と過食症の話から始まる。序章では「指導を受けた先生から、「食」という物差しで、精神病者の病理を理解してみるようにと勧められた」とか「「躁うつ病と食行動」といった論文を書いたり」したと書いてある。したがって、そのような内容を期待して読み始めた。しかし、第1章から第二章にかけては「絵本の中の食」として、「赤ずきん」「ぐりとぐら」「どんくまさん」「私のおふねマギーB」「はらぺこあおむし」「三びきのこぶた」「ちびくろサンボ」「三びきのやぎのがらがらどん」「おおかみと七ひきのこやぎ」「かいじゅうたちのいるところ」「100まんびきのねこ」「くわず女房」といった絵本のストーリーが心理学的に説明されている。それを読んでいると、実感としては、精神科医が深読みして、それぞれのストーリに登場する食にまつわる内容について後知恵でもっともらしく解説しているだけのような気がした。子どもも大人も、絵本というものを、そんなに蘊蓄を傾けてあれこれと分析的・理知的に読むものなのかと疑問に思った。また、民話の再話者や絵本作家たちが、子どもを対象にして、そんな裏の裏まで考えて周到にお話や絵本を作っているとは思えない。でも、本書の中心は、この絵本の分析の章のようだ。後の章で、また拒食症などの話が出てきて、最後の章ではうつ病に触れられている。でも、本書の最後の締めは「早寝早起き」と「バランスの取れた生活メニュー作り」(必ずしも食のメニューではない)がからだにいいですよというもの。お子様ランチで始まって薬膳で終わるような、なんともちぐはぐな食事を出された印象しか残らなかった。あとがきで、著者は自分のことをかなりほめている。この本は、著者の自信作らしい。「こういうのって、"自己満足"っていうやつかもしれませんね。」とも書いているが。
絵本を素材に「身体の自分」と「本当の自分」を語る ★★★★★
 精神科医の著者が『赤ずきん』『三びきのこぶた』『ぐりとぐら』『100まんびきのねこ』など多くの子ども向け絵本を素材にして、「食」の社会学的意味をやさしい語り口で教えてくれる、とても楽しい小冊子。患者を物語療法によって治療するという著者らしく、簡明ながら透察力にあふれた文章は読むだけで癒し効果が期待できます。『ちびくろサンボ』の虎のバターが実は「ギイ」だったとは知りませんでした。

 本書のキーワードは、「身体の自分」と「本当の自分」。この自分の身体を他者のように眺めることが一般化するに従って、著者のもとへ駆け込む患者が「拒食症」から「過食症」そして「うつ病」へと変遷してきたというあたりは社会学的にとても興味深い内容でした。また『豊かさの精神病理』以来の読者には、著者の考えの変化や成長?をうかがうことも出来る興味深い一冊です。
絵本を深く読むことで見えてくる世界があります ★★★★☆
 なぜ、「赤ずきん」のオオカミは、出会ったときにすぐ赤ずきんちゃんを食べなかったのでしょうか。本書を読むと、その答えがわかります。(納得できるかどうかは別ですけどね)本書は、私たちがよく知っている絵本を通して「食」をめぐる現代の日本人の精神状況をわかりやすく描いた快書です。
 個人的には、アトランタオリンピックでの「自分で自分をほめたいと思います」という有森裕子の発言を巡っての考察にしびれました。このことばを聞いたときには特に違和感を感じなかったのですが、私も同じ思考の罠にはまっていたようです。
 現在でもまだまだ古くなっていない本です。
ぅーむ★ ★★☆☆☆
なんか食というより普通の心理学のようでした。
ちょっと期待はずれでした。
最近読んだ新書類の中では抜群に面白かった、私には。 ★★★★★
普段、大人の本から子供の本まで、学術本からトンドモ本までとにかく本ばかり読んでいますと・・いろいろ考えるわけです。絵本など、結構深くも浅くも楽しめますが・・・なるほど・・と思えるほどの面白い読み方には なかなか出会えないものです。自分でもおぼろげにいろいろと絵本の解釈などを考えますがこの本を読んで今まで気づかなかったこと、案外とおもしろい視点などにハッとして楽しめました。難点をあえて挙げるとすれば・・身体の自分、本当の自分・・・というキーワードの使用により繊細な配慮が必要だと思います。とりあえず、アイデアはおもしろいです。結論をいそぎすぎないでさらにテーマを発展させたものを期待します。