インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

アーサー王と聖杯の物語―サトクリフ・オリジナル〈2〉 (サトクリフ・オリジナル (2))

価格: ¥1,680
カテゴリ: 単行本
ブランド: 原書房
Amazon.co.jpで確認
必ずしも3部作全てを読む必要はなさそうです。 ★★★★☆
アーサー王物語と言うと、今までは漠然と一つのまとまった物語であるという認識だったのですが、実際はあちこちの伝承や物語が重なり合いながら、そられがまとまったものがアーサー王物語として確立されているようです。そして、この3部作はタイトル通り、そのサトクリフ版。サトクリフがまとめたアーサー王物語です。

全体としては一つの物語を形成しており、各所に設けられた伏線も部をまたがって形成されるのですが、一つ一つを読んでいくと、各部の印象に大きく相違があり、必ずしも全体を読む必要はなさそうに感じました。

円卓の騎士:
 アーサーの出自から円卓の騎士が集い、王国の黄金時代が築かれるまでの話。各章がそれぞれの騎士のクエストを短編集的に綴って行きます。ハッピー・エンドが分かっている部でもあります。

聖杯の物語:
 聖杯探求の話ですが、主題はランスロットとその息子ガラハッドの対比。特に、聖性と人間性について、運命に導かれながらも人間性を捨てきれずに聖杯探求に失敗してしまう前者と、聖杯探求を成功させ神に召されてしまう後者の対比が中心のようです。
 アーサー王物語の中では、冒険に出かけた騎士たちの多くが失われてしまう、王国没落の始まりを印象付ける位置づけです。

最後の戦い:
 王国の終わりの始まりから、いかに王国が崩壊していくのか、そしてその中でも失われないもの、人間性が主題です。1部とは対照的にバッド・エンドがはじめから分かっている内容です。

 アーサー王物語の顛末だけを知りたいならば、1部と3部だけを、アーサー王物語を読まなくとも、関連するまとまった一つの物語を読んでみたい人には2部だけを読むことをお勧めします。
 全体を知りたければ、もちろん3部作全てを読み通すことをお勧めしますが、そこをあえて2冊で絞めたいという人には、作者は異なりますが、永遠の王、上下巻も良いかもしれません。
神秘の物語 ★★★★☆
トマス・マロリーの「アーサー王の死」の中盤、いわゆる「聖杯伝説」の部分のサトクリフ版。相変わらず翻訳は上手いとは言い難い。

聖杯の騎士ガラハッドの登場に端を発し、絶頂を迎えた円卓の騎士団が聖杯の神秘を求めて冒険に旅立つ。ログレスの王妃グウィネヴィアとの禁断の愛ゆえに聖杯の神秘に与ることを許されないランスロット。やがて幾多の冒険の果て再会を果たしたガラハッド・パーシヴァル・ボールスらの前に聖杯の神秘が明かされる。

聖杯は、それを探求する者の魂が希求するものをその神秘によって見せるという。この物語は多くの象徴に満ちていて、三人が神秘の中で何を目にしたか、ガラハッドが最期に見たものは何か、明かされることはない。物語の意味は、それを読む者によって様々に異なるだろう。
途中冗長に感じる部分もあるかもしれないが、多くの示唆に富んだ物語である。

運命とは... ★★★★★
 「運命とは、避けられぬがために、運命という。」

 本書を最も象徴する一言である。この「アーサー王と聖杯の物語」では、繁栄の絶頂をすでに越えてしまったアーサー王のお話で、円卓の騎士が聖杯を求めて、冒険に出て行きます。しかし、その先にあるのは、円卓の騎士同士での戦い、親子での戦い、兄弟との戦いなど、読んでいてとても心が苦しくなるシーンがたくさんあります。また、ランスロットには、大きな喪失感、重い罪悪感といった試練が降りかかります。しかし、円卓の騎士が、できる限りのBestを尽くして、少しでも良い結果を得ようと努力するのですが、その悲劇を避けることができません。

 わたしは、この本を読んで、心のそこから求めるものに対しての「人間の無力さ」を、感じました。そして、同時に、心のそこから求めるものに対して、「人間が如何に勇敢であるか」ということが、心の中に響いています。