壁の花シリーズ:デイジー
★★★★☆
シリーズ最終話は、デイジーが主人公です。リリアンとエヴィーの話がカップルの二人の関係だけに焦点を絞って話が進んでいたのに対して、これは壁の花たちの活躍も描かれていてシリーズものらしい楽しみ方もできる1冊でした。
話は、いつまでたっても夢見がちな少女のようなデイジーに業を煮やした父親が、シーズン中に結婚できなければ自分が選んだ相手と結婚するよう最後通牒をつきつけたことから始まります。父親が選んだ夫候補のMatthewとデイジーは以前からの知り合いですが、デイジーは口数が少なく常に冷静で現実的なMatthewが苦手です。デイジーは父親への反発もあいまって最初は何としても別の夫を見つけようと頑張るのですが、その過程でMatthewの内面に触れ、次第に彼に惹かれていくようになります。一方Matthewは、出会った瞬間にデイジーに一目惚れして以来ずっと彼女だけを見つめ続けてきたにもかかわらず、自分は彼女の結婚相手にふさわしくないと思っているため、相思相愛となっても彼女と結ばれようとしません。こんなMatthewを恋を知って大人の女へと成長したデイジーが甘い魅力で説得するという展開、このあたりはいかにもクレイパスらしいシーンが満載で、英語だということが気にならないくらいすらすら読めて楽しかったです。難を言えば、話の後半にでてくるMatthewの過去の秘密というのが、ただ単にすんなりと恋を成就させないために少々大げさにとり扱われている気がするのがひっかかりましたが、時代背景なのだと思えば許容範囲です。