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世論 (下) (岩波文庫)

価格: ¥972
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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『世論』を書いた動機は、第1次大戦後の混乱の原因究明にあった(1922年刊)。にも拘らず我々がこの書を手にすると、あたかも現在を分析し警告を発しているかのような切迫感を覚える。それは、大衆心理がいかに形成されるかを出発点として、人間と環境の基本的な関係を、イメージの概念から明晰に解いているからだ。
上巻、下巻を通して ★★★★☆
リップマンはジャーナリストらしく、洞察に満ちたみごとな現状分析と、豊富な実例を用いた説得力ある文章によって、「民衆が自分たちの問題を自分たちで考え決定していく」などという牧歌的な民主主義が幻想にすぎないことを暴いていく。

その最終章は題名こそ「理性に訴える」であるが、訳者が解説の中で言っているような「アメリカ民主主義の最良の伝統を引き継ぎ、守り育てようとするヒューマニズムの精神とは何かが明らかにされているからである」とは私にはとうてい読み取れなかった。「非理性的な世界を扱うのに理性の方法を用いることは本来できない相談なのだ(p277)」。

このペシミズムとも言える冷徹な議論が現実の政治にどのように帰結していったのか?
考えさせられる著作です。
世論を広範囲に見渡す ★★★★★
情報伝達から人という群はなにを動かされるか。ステレオタイプを深く掘り下げたり、民主主義の発展を見る。そして、情報・世論・ステレオタイプがある条件下どう作用していくのか。今でも古く感じない本で、最終章はすばらしい語り口で締めくくられている。