アメリカの風土ではロシアの芸術は死滅せざるを得ない。
★★★☆☆
ロシアの映画であるため、ロシア語がわからない観客は日本語字幕に頼らざるを得ません。したがって字幕がどの程度忠実に成されているかどうかはわかりません。たとえば、1920年に米国とソ連との間には国交がないはずですので、1920年のカーネギーホールに、貿易代表部の代表はまだしもソ連大使がいることはありえない。しかし字幕は!
フラッシュバック(1880年、1920年)というやり方は嫌いではないですが、第一次大戦とロシア革命という重要なイヴェントがその間に挟まれるため、このイヴェントの重要性に予備知識がない人にとっては苦しいでしょう。ラフマニノフは、プロコフィエフやストラヴィンスキーと違い、ソヴィエト体制から自分の意志で逃げたした人間です。
映像は、チャイコフスキー [DVD]と同じように、ロシアの映画らしくきれいです。自然と音楽のこのような組み合わせは見事です。つまるところロシアの大地から切り離された芸術家は遅かれ早かれ芸術的な想像力の枯渇に直面するというのは真実なのでしょう。(でもバランシンはどうか?)ハリウッドや西海岸の風土の中でロシア人の芸術が開花するとは思われないのです。
ラフマニノフの
★★☆☆☆
生涯が知りたくて観てみましたが、たいていはよく知られているエピソードばかりで、
あまり見ごたえのあるものではありませんでした。
ラフマニノフ役の役者さんがよく似ているのは、よかったのですが。
もう少し掘り下げた内容だったら・・・と思いますが、
初めて、どんな人だったのかと興味を持った人には簡潔でわかりやすいと思います。
これでいいのか!?
★★☆☆☆
時系列がバラバラで、ラフマニノフの予備知識が無いと着いていけない作品です。
また、これは伝記として一人の音楽家を掘り下げたかったのか、それとも家族愛を描きたかったのか、軸が定まっておらず、最後まで焦点がぼやけたまま終わってしまった印象を受けました。
後味がなんとも…。残念な作品ですねぇ。
う〜ん・・・
★★★☆☆
ラストは「え、もう終わり?」という感じでした。
大した山もなく、延々とラフマニノフのうつと作曲の苦悩が描かれています。
ちょっと淡泊すぎて、理解するには難しいです。愛の調べとありますが、愛がテーマなのかも疑問でした。
物足りなさを感じます。
でもやはり彼の音楽がバックにあるだけで、映画内の雰囲気は良かったです。
当時のロシアの様子もよくわかる内容でした。
ラフマニノフの生涯を撮ったかのような創作映画
★★★☆☆
近年特に人気のあるラフマニノフの伝記のようなロシア映画だろうし、彼の音楽がふんだんに使用されるという期待をもって観たわけです。予告編も美しく「ある愛の調べ」という副題にぴったりだったということもあり、否が応でも期待度は高まっていました。
受け取り方は人それぞれですし、見方も同様ですので、感想はあくまで個人的なものです。
ラフマニノフが実際鬱的な状態に置かれていたというのは史実に近いのでしょうが、そのメランコリーな部分がどこからくるのか、何故10年間も作曲がなされなかったのかというディーテールが曖昧でした。特に、何をどのように描きたかったのか、という視点が明確でない作品だと感じました。
ライラックの花を狂言回し的な使用をすることで、ラフマニノフの苦悩を軽減させ、愛情の存在を確認させる役割を果たしたのは巧い演出だと思います。ピアノメーカーのsteinwayの隆盛に、ラフマニノフの演奏旅行が大きく寄与したのはどうも事実のようでした。
「ピアノ協奏曲第2番」や「パガニーニの主題による狂詩曲の第18変奏曲」、「ヴォカリーズ」などの代表的な曲はBGM的に使用されていたのですが、短く使用されていたため印象に残りませんでした。交響曲第1番の初演の酷評のエピソードは巧く描けていますが、アメリカ亡命前夜のロシアの国情には全く触れられていませんでした。このあたりがロシア映画の限界でもあるのでしょう。
なお、エンドロールの直前には「この作品は芸術的創作であり、史実と異なる表現も含まれる」という内容のテロップが書かれていました。そうですか。
DVDに特典映像でもあればまた評価は代わっていたかもしれませんが・・・・。