最初はヒロインに感情移入できず、イマイチ？と思ったのですが、中盤から後半にかけて過去が大きく関わってくる頃には一気に読んでしまいました。

この作品がリサ・クレイパスでは、初めて読んだ本だったので、以来ハマってます。
正直これよりも次のDerekの出てくる“Dreaming of You”の方が好きなのですが、こちらを先に読まないと面白さが断然薄れてしまいますのでこちらを読んでから、Dreaming…の方へ一気に行くことをお勧めします（笑）

男性を信じられず、憎んですらいるリリー。傷ついた心を大胆な行動の影に隠しています。過去のたった一度の過ちから私生児を授かったものの、娘が2歳のときに相手の男に誘拐され、以来2年間も娘をたてにお金を強請られてきました。
娘を求めて夢遊病で彷徨うヒロインが、痛々しいばかりです。
それまで反発していたヒーローが、一転、ヒロインを求める自分の心を認めたあとに見せる包容力、献身には、目を見張ります。ヒロインが幸せになれて良かった、と心から思えます。
ヒロインの秘密を知り、ずっと友人としてリリーを支えていたデレクの寂しさが哀しいです。
早くデレクがヒーローとなるDreaming of You　を読まなければ．．

ヒストリカル物の中には、敢えて文語的な用語や言い回しを使っていて、わかりにくいものもありますが、Kleypas作品は私の基礎的な英語力でも読みこなせましたよ。

意に沿わない結婚から妹を救い出すため、相手の伯爵邸に乗り込んだヒロインが、あの手この手を使って結婚を妨害しようとするところから物語が始まります。この時代珍しいほど行動的なヒロインと厳格な伯爵のやりとりにとっても笑わせられるのですが、中盤からはそれぞれのつらい過去もからんで切なくなるような展開になってきます。正義感が強く行動的で大胆なヒロインの内側にはこわれやすい繊細な心があることに気づいた伯爵が、その包容力と愛情で徐々に彼女の心を開いていくところがよかったなぁ。彼女との一夜をかけた賭博場での勝負もおもしろかったです。また次回作のヒーローとなるDerek Cravenも登場しますのでそれも注目。